大阪市育鵬社教科書採択問題

大阪市教育委員会は2015年8月の中学校教科書採択で、育鵬社の社会科歴史的分野・公民的分野の教科書を採択した。

育鵬社教科書は執筆者グループが「日本教育再生機構」に関係があるとされ、極右的な内容が含まれた記述となっている。またヘイト勢力とも親和性が高く、レイシストが「育鵬社教科書採択を求める」を口実にヘイト街頭宣伝を行ったこともあった。

内容の是非以前の点でも、採択の過程で強引とも思われるような手続きが踏まれ、疑問視されている。

2015年8月5日の採択会議では、会議の直接傍聴者を一切閉め出し、傍聴は数キロ離れた施設に中継する形でおこなう異例の対応をとった。さらに、育鵬社教科書を採択したうえで、教育委員会で2番めに評価が高かった教科書を補助教材として採用する異例の対応をとった。

教育委員の中に、産経新聞グループの要職を歴任し育鵬社グループの雑誌に見解を寄せるなどした人物がいたして、その人物が教科書の利害関係者にあたる疑いがあるという指摘がされている。

また採択会議の際、教科書展示会での来場者アンケートで、「育鵬社教科書を支持する意見が7割近くあった」と集計結果が発表された。他地域では育鵬社教科書を支持する意見は1割程度にもかかわらず、大阪市で突出している点については、当時から不審に思われていた。

しかし2015年9月、大阪府岸和田市の住宅販売会社「フジ住宅」で「ヘイトハラスメント」問題が明るみに出た。同社では社内報などで民族差別的な内容の文書が配布されるなどの行為が日常的に繰り返され、従業員が声を上げたものである。「ヘイトハラスメント」問題に関連して、2015年6月に実施された教科書展示会のアンケートに「フジ住宅」が従業員を組織的動員し、育鵬社教科書を支持する意見を大量に記入して投函していたことが明らかになった。各会場から合計1000枚以上の回答用紙を持ち帰り、見本にそって記載して後日投函したとされる。同一筆跡・同一内容と思われる回答が20枚以上発見されている。同社の会長は育鵬社教科書グループの母体の「日本教育再生機構」の発起人を務めている。

育鵬社の社員がフジ住宅幹部に接触し「教科書展示会アンケートで育鵬社支持が多いほど採択の可能性が高まる」とメールを送っていたことも発覚している。

大阪市教委事務局は、アンケート集計の段階で同一文面が多数あることに気づきながら、担当者がそのまま集計して教育委員会会議に報告していたことも明らかになった。

資料

大阪市会議事録

大阪市会では、自民・公明・共産の各会派が採択手続きを問題視し、議会質問している。一方で大阪維新の会は、前回2011年に育鵬社教科書を採択するよう求めた経緯もあるのか、2015年以降の不正疑惑には一切触れないまま、市会に提出された育鵬社問題の不正解明を求める陳情書には唯一反対し続けている。

2015年10月5日大阪市会教育こども委員会

2015年12月3日大阪市会平成26年度決算委員会

2015年12月10日大阪市会教育こども委員会

2016年2月23日大阪市会教育こども委員会

2016年3月23日大阪市会教育こども委員会

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