青森市立浪岡中学校いじめ自殺事件

青森市立浪岡中学校2年の女子生徒が2016年8月、いじめを苦にして自殺した事件。

経過

青森市立浪岡中学校2年の女子生徒が2016年8月25日、青森県内の鉄道駅で列車に飛び込み自殺した。自殺当日は、2学期の始業式の翌日だった。

生徒のスマートフォンには「遺書」と題して、いじめ加害者の氏名やいじめの具体的な内容などをあげ、学校でのいじめの被害を訴える書き込みが残されていた。遺族は、書き込みの一部を公表し、いじめがあったと訴えた。

遺書には「もう耐えられません。いじめてきたやつら、自分でわかると思います。二度としないでください」「学校生活も散々だし、それでストレスたまって起立性(※原文ママ、起立性調節障害のことか)なったのに、仮病とかいう人が沢山いて、説明しても、あまり信じてくれなかった」「■■(※黒塗りで公表。文脈からは『生徒にとっては不名誉・不快と感じるような事実無根の内容』が記されていると推測される)の噂流したりそれを信じたりいじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう、二度といじめたりしないでください」などとあったという。

同級生や遺族の証言によると、この生徒は中学校入学後から同級生からのいじめを受けていた。

学校で同級生から暴言を浴びせられたり無視されるなどしていた。またインターネット上でも「LINE」で悪口を振りまかれるなどしていた。生徒は体調を崩し気味で、1年の3学期頃からは登校できない日もあったという。

2年に進級後、生徒と家族は近隣の中学校への転校の選択肢も検討していた。しかし「同学年の生徒はネットを通じて近隣校の生徒ともつながりがある。転校してもネット経由で加害者側から情報が伝わり、転校先で再びいじめられる危険性がある」として、最終的には転校断念を余儀なくされた。また女子生徒は「自分が転校した場合、残される友人に嫌がらせが集中するのでは」とも心配していたという。

教育委員会の事件調査

青森市教育委員会は事件を受け、2016年8月30日には教育長が「いじめがあった可能性が濃厚」と言及。2016年9月7日に市のいじめ防止対策審議会に諮問し、調査が始まった。

加害生徒への対応

青森県警少年課と青森南署は2016年12月までに、インターネット上の「LINE」にこの生徒への中傷を書き込んでいたなどとして、生徒数人を侮辱などの疑いで調査し、児童相談所に通告した。通告対象となった生徒はいずれも、刑事責任が問われない14歳未満だった。警察では、いじめかどうかについては判断せず、あくまでも書き込みの内容が刑事事件の対象となりうる触法行為かどうかの観点でのみ判断したとされる。

「黒石よされ」写真コンテスト騒動

自殺した生徒は、幼い頃から津軽手踊りに取り組んでいた。自殺直前の2016年8月、青森県黒石市の夏祭り「黒石よされ」に津軽手踊りの踊り手として参加していた。

「黒石よされ」では、踊り手など祭りの様子の写真を対象にした写真コンテストを同時に開催している。8月15日にこの生徒が津軽手踊りを踊っている様子を、居合わせた写真愛好家が撮影し、写真をコンテストに応募した。撮影者はこの女子生徒とは面識がなかった。

コンテストの実行委員会ではこの写真を、最高賞にあたる「市長賞」の受賞作に内定した。受賞や写真公表の了解を得るために、津軽手踊りの団体を通じて被写体の人物を探した。その際に被写体の人物が、自殺した女子生徒と判明した。

実行委員会は当初は賞を贈る方向で撮影者や遺族の受賞内諾を得たものの、その後2016年10月13日に「亡くなった人を審査対象にすべきでない」「いじめ自殺事件の当事者が被写体だと憶測を呼ぶ」などとして、一転して受賞取り消しを決めた。顛末が2016年10月に報じられると、実行委員会のやり方は不適切なのではと抗議・批判が出た。

撮影者は遺族に版権を譲渡し、遺族は2016年10月17日に「こんな笑顔の子もいじめで命を失うという残酷さも伝わってほしい」として、写真と生徒の氏名を公表した。

批判を受け、実行委員会では2016年10月19日、内定取り消しを取り消して「市長賞」を贈った。撮影者は受賞を辞退し、写真コンテストでは「遺族提供」の形で写真が展示された。


◎主ないじめ事件の事例

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