生徒に暴行の元高校技能員に無罪判決:裁判所が暴行を正当化

 神奈川県立湘南高校定時制で2007年6月、当時1年の男子生徒に暴行を加えてけがをさせたとして傷害罪に問われた、元非常勤技能員の男(39)に対し、横浜地裁(大島隆明裁判官)が無罪判決を言い渡していたことが分かりました。


 報道によると、男は2007年6月12日、「食堂でカレーライスをテーブルにまき散らし、片付けずに外に出ようとした(共同通信の報道より)」として、男子生徒の首を引きずるなどしてけがをさせたものです。
 被害にあった男子生徒は警察に告訴し、男は罰金15万円の求刑で略式起訴されました。男は正式裁判を請求して無罪判決となったということです。
 この男は「けがは自作自演」などと主張して被害生徒を中傷したということです。大島隆明裁判官は自作自演の主張こそ退けたものの、「軽度とはいえ、暴行によって傷害を負わせたが、生活指導の一環で体罰には当たらない」と判断し、「この行為が処罰対象となれば、指導に従わない生徒が体に触れただけで教職員を警察に告訴する風潮を生み出しかねない」と結論付けました。
 この判決は、学校での教職員の一方的な暴力を「指導」と正当化するようなものです。
 そもそも、報道されている「事件のきっかけ」自体が、この男に有利なように捏造されている可能性があります。実際は「一方的に暴力を加えた」といわざるを得ないでしょう。
 もっとも、「単なる暴力であり生徒指導のレベルにも達していない」という意味で「体罰」ではないというのなら話は分かります。しかし今回の判決はそういう意味ではありません。明らかに違法行為であるにもかかわらず、暴力は正当と断じています。
 「この行為が処罰対象となれば、指導に従わない生徒が体に触れただけで教職員を警察に告訴する風潮を生み出しかねない」などという判決は、暴力加害者の論理を取り入れた馬鹿げた結論だといえます。
 日本の学校では「体罰」・暴力が蔓延していますが、そういった行為に法律上の正当性はありません。また感情的な暴行でしかありません。「体罰」に対して生徒が抗議すると一方的に「対教師暴力」と描いて、自分の不法行為を棚に上げて「無抵抗の教職員が一方的にやられた」かのようなデタラメの理由を付けて生徒を警察に告訴する教職員(限りなく虚偽告訴に近い内容)や、保護者からの抗議を「モンスターペアレント」呼ばわりして居直る教職員も多く見られます。
 一方で生徒の側は、泣き寝入りを余儀なくされている場合も多く、警察に告訴すること自体がまれです。仮に「体罰」被害で告訴したところでまともに捜査されないということも多くあります。起訴されること自体が少ないですが起訴されても罰金刑止まりです。そんな現状を考慮すれば、元技能員の男が略式起訴されたこと自体が、極めて悪質な暴行・「体罰」だったことの証明だったともいえます。
 明確な違法行為である以上、別に告訴されても仕方ないでしょう。もっとも、告訴の必要がない=そもそも「体罰」事件そのものが起きない風潮が望ましいのは言うまでもないのですが、必要な場合は告訴する風潮ができても仕方ない、というか仮にそんな風潮ができたとしても暴力教師側の自業自得でしょう。
 犯罪者を相手にする警察官や刑務官ですら、実力行使には一定の制限があります。ましてや犯罪者を相手にしているわけでもない上に法律上の権限もない教師が、「体罰」と称して明確な違法行為をやりたい放題加えていることが問題なのです。子どもは犯罪者以下の存在なのでしょうか。
 今回の判決は極めて悪質で、しかも時代に逆行した判決です。極めて不愉快なものであり、学校現場への悪影響が懸念されます。またこの判決を下した大島隆明裁判官の名前は、記憶にとどめるとしましょう。