教育委員会会議録音データ、開示請求直後に消去

 川崎市教育委員会が2014年8月、2015年度川崎市立高校の教科書採択を審理した際、実教出版の日本史教科書を希望申請した学校に対して市教委が再考を求めた問題に関連して、市民が当日の教育委員会会議の録音音声データの情報開示請求をおこなったことに対して、市教委事務局が請求直後にデータを消去し開示拒否していたことがわかった。

 川崎市教育委員会では2014年8月17日の教育委員会会議で、次年度に使用する市立高校教科書の採択について審議した。大半は学校側の希望を追認する形になったものの、科目「日本史A」について実教出版の教科書の採択希望を出した2校に対し、当該校に再考するよう求める決定をしたうえで、当該校の日本史科目のみ採択を保留した。同年8月30日には、当該校が別の教科書の採択申請を出したとして審議し、別会社の教科書を採択した。

 実教出版の日本史教科書では、国旗国歌法の説明に関連して「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」とする記述があり、一部教育委員会や極右派政治家が敵視してこの教科書を排除する動きも生まれている。

 ある市民が2014年9月、「会議録は実際の発言に加筆修正してまとめられるので、正確な議論を知る」として、8月30日の教育委員会会議の録音音声データの情報公開請求をおこなった。しかし市教委は「録音音声データは会議録作成の補助であり、会議録作成を担当した事務局職員の個人的なメモとして録音したもの。公文書には当たらない」として開示拒否の決定をおこなった。

 市民が2014年11月に異議申し立てをおこない、情報公開審査会が審理していた。しかし市教委事務局は、2014年10月に録音データを消去したと情報審査会に説明し、審査会も消去を確認した。

 審査会は2015年12月、録音に使われたICレコーダーは市が管理していること、市の情報は公開が原則とされていること、会議内容は非公開が妥当な例外事例には該当しないことなどを指摘し、録音データは開示すべきものだったと判断した。

 教科書の採択については、公開のもとでおこなわれるべきである。個人情報などには一切当たらない。実教出版の日本史教科書排除問題が背景にあるとされていることから、録音データ消去にはそのこととの関連も疑われてもやむを得ないのではないか。

(参考)
◎教科書採択の会議の録音、開示請求後に消去 川崎市教委(朝日新聞 2016/1/25)