奨学金回収訴訟が激増

 日本学生支援機構の奨学金貸与事業で、返済が滞った利用者や親などに対して、残額の一括返還を求める訴訟が激増していると、『東京新聞』2016年1月3日付朝刊『奨学金返還 訴訟が激増 支援機構、回収を強化』が報じている。

 記事によると、旧日本育英会を改組して日本学生支援機構が発足した2004年度は一括返還請求は58件だったが、2012年度は6193件へと100倍以上に激増した。背景には長期滞納者への回収強化策があるという。

 また同機構では、3ヶ月以上の滞納者の個人情報を全国銀行個人信用情報センターに登録している。これは、いわゆる「ブラックリスト」入りということにもなる。

 奨学金の問題は、学費の高騰、就職難、不安定雇用の増加など多様な要因が絡まり、もはや社会的に解決が必要な問題となっている。

 卒業後は低賃金や不安定雇用などによって、返済以前に生活そのものに困難をきたすことが珍しくない状況になっているし、事態も深刻化している。また大学進学を志望する高校生が、家庭の経済事情から奨学金を検討しても、卒業後の不安から奨学金制度の利用をためらい、家庭の経済状況で進学そのものが危ぶまれる状況も生まれている。これでは、学ぶ権利に対する深刻な侵害ではないか。

 もはや「借りたものは返す」という単純な道徳で解決できるような話ではなくなっている。これはもはや個人の問題ではなく、給付制奨学金の導入など、社会システムとして救済策を検討しなければいけない課題ではないか。

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