全国学力テストの結果公表:相変わらずずれた反応

 文部科学省は8月29日、2008年度の全国学力テストの結果を公表しました。

 予想されていたこととはいえ、平均点や順位を過剰視するような対応が目立っています。各地方新聞社、および全国紙の地方版のウェブサイトを見ると、やはり「地元県の成績は平均点より上(下)」という論調の報道が目立ちます。
 しかし都道府県別平均点は全国平均のプラスマイナス5%程度に収まっていて、いわば「統計上の誤差」に過ぎません。1位から47位までの順位を付けても、「たまたまそうなっただけ」以上のものではなく、有意な差は認められないものです。
 それ以前の問題として、平均点は「問題そのものの難易度の指標の一つ」に過ぎず、他者と比較するような性質のものではありません。そもそも、個人の学力には個別の状況や課題があります。平均点だけに目を向けても、個別の課題は見えてきません。
 すなわち順位に執着して平均点を都道府県別に比較すること自体が無意味ですし、愚の骨頂です。
 個別の状況を無視して平均点や順位に一喜一憂するような傾向については、決して偶発的なものではなく、全国学力テストの目的が「学校間・地域間競争」というところから生まれていることから導き出される必然的なものです。国民世論によって文部科学省ですら後付け的に対策をとらざるを得なくなったといえども、平均点や順位を過剰に気にする傾向については、当初のねらい通りの「成果」が生まれています。
 現行のような形での全国学力テストは有害なだけであり、今年度限りで中止されるべきです。行政として全体の傾向を知りたければ抽出調査で十分です。

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