小松市での育鵬社採択:中日新聞が情報公開請求で関連資料入手

 石川県小松市で育鵬社の中学校社会科歴史・公民の教科書が採択された問題に関して、中日新聞社の情報公開請求で、現場からの評価が低かったにもかかわらず教育委員4人の全会一致で育鵬社が採択されていたことがわかった。

 中日新聞2015年9月29日付『育鵬社 少ない「優」評価 小松の選定 教諭らの声届かず』が記事にしている。

 記事によると、現場の教員らが教科書の内容を検討した研究報告書では、基礎内容・地域理解など8項目で各教科書を評価していた。歴史教科書では、「優れている」の意の「◎」の数が一番多かったのは帝国書院の6個、次いで東京書籍の5個となっていた。育鵬社では「◎」は1個に過ぎなかった。

 また公民教科書でも、「◎」は東京書籍3個、帝国書院2個、育鵬社ではゼロだった。

 しかし学校長や保護者代表らでつくる採択委員会は8月11日、育鵬社と帝国書院の2社を推薦した。帝国書院は前回に採択された教科書だという。採択委員会の会議録では、育鵬社を推す声が多数を占めたという。そして、8月27日の教育委員会で育鵬社教科書の採択を決めた。

 情報公開で明らかになった採択過程は、全国的な動きとも軌を一にしている。

 育鵬社教科書が採択されたところ、また実際の採択の阻止には成功しても採択の策動が激しく繰り広げられたところでは、育鵬社教科書支持勢力が、子どもや学校の実態から出発するのではなく、自らのイデオロギーを押し付けようと政治闘争扱いで騒ぎたて、自らに有利な組織運営なども強引に押し付けるなどする例が、ほぼ例外なくみられる。小松市でもこのような形で採択されたことになる。

 現場の意見では帝国書院や東京書籍が評価が高かったにもかかわらず、採択委員会の段階で、育鵬社教科書支持勢力にとっては「左翼」「自虐的」とみなして敵視している東京書籍を外し、逆に現場からの評価が低かった育鵬社を東京書籍の代わりに紛れ込ませた形になっている。

 教員からは同じような高評価でも、採択委員会で東京書籍が排除されて帝国書院だけ残したのは、帝国書院の近年の版は育鵬社教科書支持勢力からは「自分たちのと比べれば程遠いものの、『左翼』『自虐的』教科書の中では相対的にはマシ」扱いされているらしく、育鵬社採択をねらうような地域ではあちこちでアリバイ的に第二候補としてあげられる例が目立っているという動きと関係しているのかもしれない。

 そして、教育委員会では教育委員が育鵬社を決定した。いかにも結論ありきの政治的押し付けの流れが見えてくる。

 このような過程が、正常な採択といえるのだろうか。

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