東大阪市議選、育鵬社教科書問題で公開質問状

 9月27日投開票の東大阪市議選挙に関連して、「東大阪市で教育を考える会」が市議選立候補者に育鵬社教科書問題で公開質問状を提出し、回答が同会のフェイスブック上で公表されている。

 東大阪市では現職市長の意向も踏まえて育鵬社公民教科書が採択され、問題になっている。東大阪市長選挙と市議選挙が同時に実施されることになっている。

 市議候補者への質問内容は、以下の4点。

(1)育鵬社の公民教科書には曽野綾子氏の「国家帰属しないと人間にならない」という文章が載っています。東京新聞等では、これが無国籍者や難民の差別につながるとして批判されています。このような育鵬社の教科書を支持しますか。

(2)先日7月27日に行われた東大阪市教育委員会の採択では、選定委員会の答申に「東京書籍、教育出版、帝国書院」の3社が選ばれていたにもかかわらず、これを無視して育鵬社を採択しました。選定委員会答申は教員の教科書調査をもとに、選定委員会が2か月かけて作成した採択の最重要資料です。4月の教育委員会議でも「答申を受けて採択する」と確認されていました。にもかかわらず、教育委員会は自らくつがえしたわけです。このような採択は不当ではないでしょうか。

(3)東大阪在住を名乗る人物が教科書採択について書いたフェイスブック上での書きこみに、外国人差別の文言があったにも関わらず、野田市長が「いいね!」するということがありました。このことについて追及された野田市長は「操作ミス」とだけ言い、この文言が外国人差別であるかどうかについての判断を避け、謝罪もしませんでした。このような野田氏の態度は市長にふさわしいでしょうか。

(4)ヘイトスピーチ演説の温床となる育鵬社の教科書を採択した教育委員と、差別文言に「いいね!」する市長から構成されている総合教育会議が、東大阪市の今後の教育の基本方針となる「大綱」をこの9月にも決めようとしています。その内容は人権教育を軽視し、キャリア教育に重点を置き換えようとするものです。「多文化・多民族共生の街」として東大阪市が大切にしてきた人権教育を軽視する「大綱」を、東大阪市の教育の指針として認めてよいと考えますか。

 これまでのところ、共産党候補8人全員、新社会党候補、諸派候補、無所属候補2人からの回答が掲載されている。自民・公明・大阪維新・民主の候補者からの回答は掲載されていない様子である。

 共産党と新社会党の候補はいずれも「(1)支持しない、(2)不当である、(3)ふさわしくない、(4)認めてはいけない」と回答している。諸派候補は「(1)支持しない、(2)不当である、(3)操作ミスについては注意頂きたいと思います。その後の説明、謝罪についての詳細がわかりませんので的確なお答えができません。(4)認めてはいけない」と回答した。

 無所属候補は、1人がいずれも「分からない」と回答した。もう一人の保守系候補は直接の回答を避け「正しい歴史認識の必要性、現代史の明記、古事記の導入なども考えております。今回は詳しく述べさせて頂く事は控えますが、又ご一緒に勉強させて頂きたくお願い申し上げます」とメッセージを寄せている。

 東大阪市の市長選・市議選のW選挙では、政務活動費の不正利用の問題や、花園ラグビー場など大型施設への税金投入などが大きな争点となっている。一方で教育分野でも、争点としてはあまり目立っていないものの、育鵬社教科書問題や、教育大綱の問題、また中学校給食実現の問題なども重大な問題となっているものである。これらの問題についても、よりよい学校教育条件を整備するという観点から、各候補者は真剣に取り組んでほしいと願う。