大阪市会に育鵬社教科書採択撤回求める陳情

 大阪市立中学校での育鵬社教科書採択について、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」は9月16日、採択撤回と再審議を求める陳情書を大阪市会議長あてに提出した。

 陳情書を含めて育鵬社教科書の問題は、10月5日の大阪市会教育こども委員会で取りあげられる予定になっている。

 陳情書では、教科書採択の過程について、▼採択を審議した8月5日教育委員会当日の傍聴者を締め出す運営、▼フジサンケイグループの要職を歴任し、また育鵬社教科書関係者とも動きをともにするなど、育鵬社とも利害関係があることが明らかな高尾元久教育委員が関与したこと、▼大阪市教委が他社教科書を副教材として選定したことは「育鵬社の教科書が偏ったものであり、必要な要件を単独で満たさない問題ある教科書を採択したことを、自ら告白したというほかありません」、といった内容を指摘し、育鵬社教科書の採択撤回と、高尾教育委員を外して再審議することを求めている。

 陳情書の内容は、全くそのとおりである。

 育鵬社の教科書は内容そのものに重大な問題があり、中学生には使えない代物である。

 善意の一般の方から、「変な教科書でも教師が工夫すれば乗り越えられるのではないか」という疑問を時々聞く。しかし、判断の基礎となる客観的な前提知識をこれから学んでいくことになる中学生に対して、育鵬社の一方的で偏った記述を渡すと、中学生はそれを真実だと思い込んでしまう危険性が極めて高くなる。

 社会科教員を志望する学生や、教育学(特に授業研究や社会科教育)・歴史学・法学などを専攻する学生などに対して、大学の授業で「育鵬社の誤った記述や不適切な記述を探してください」「教科書の記述を比較して、育鵬社の問題点を指摘してください」などの課題を出すという使い方はあるのかもしれない。しかし中学生にはそういうわけにはいかない。初歩的・基礎的な知識を学ぶ中学生だからこそ、学問的に適切な記述が記載された教科書が求められる。

 教科書の内容だけでなく、採択に至るまでの強引な経過もひどい。育鵬社を採択した自治体では、多くのところで育鵬社支持派の首長や教育委員の強引な対応が表面化し問題になったが、大阪市でも例外ではない。

 高尾教育委員が、育鵬社教科書採択グループの雑誌に論考を寄せていたことなどの事実もある。また市長与党の「大阪維新の会」が、「自虐的ではない」教科書の採択を求める要請をおこなったこともある。大阪市教委が教育委員会会議で、歴史・公民とも、教育委員会では2番めに評価の高かった教科書を副教材として採択し、購入費用に市費をあてると決議したのは、予算措置をおこなう橋下徹大阪市長の事前の承認なしにはこのような提起はできないはずという見方もされている。

 大阪市での教科書採択の過程は、何から何までおかしいと言っていい。市会では問題点を厳しくあぶり出すことを求めたい。