東大阪市教科書採択:選定委員会で保護者の意見無視して育鵬社排除と描いた産経新聞

 産経新聞ウェブ版(2015年9月14日)に『「ファッショ! 独裁や!」時代錯誤のヤジが渦巻く教科書採択 「人権上の配慮欠く」?いわれなき中傷で育鵬社外し』が掲載された。

 大阪府東大阪市では、2015年の教科書採択では、中学校公民教科書について育鵬社が採択された。一方で事前の選定委員会の答申では育鵬社版は入っていなかった。そのことについて、育鵬社支持側の視点から描いている。

 産経新聞では選定委員会について「本来、採択権者(東大阪の場合は、教育長と委員長を含む4人の教育委員)の判断を縛るような文書を出すことは禁止されている」「(選定委の)答申に法的拘束力はない」としてあくまで参考資料という位置付けを強調している」などと描いている。その一方で東大阪市では、教育委員自らが2015年4月の教育委員会会議で「答申を受けて採択する」と確認している。都合の悪いことは伏せているといえる。

 さらに、選定委員会の運営に問題があり、保護者の意見を強引に排除して、教育委員会事務局の意向を押し付ける形で育鵬社教科書が答申から一方的に排除されたかのように描いている。

 しかし産経新聞の記事では、「選定委員会に日本会議の関係者がいた。その人物の意向が通らなかった」という事実を伏せている。自分たちの意に沿わないからといって、会議の運営に問題があったと描いているのである。

 日本会議は日本最大の右派団体とも指摘され、安倍晋三首相・下村博文文科相の政治的・思想的路線とも同調している。同会議は「自虐的」「反国家」的な教科書の是正なども掲げ、育鵬社教科書執筆者の母体となっている「日本教育再生会議」「教科書改善の会」と同じ方向性を持っている。

 東大阪市での教科書採択の経過は、選定委員会での「排除」とされているものは単に「自分の意が通らなかったことをそうゆがめて言い立てている」ことにすぎない。実際は日本会議とつながりのある野田義和東大阪市長や日本会議系の選定委員の意向を受け、教育委員会会議で一方的に育鵬社を採択したのが事実である。また野田義和東大阪市長は選定委員会の人選について「偏っている。是正しなければならない」とも話したことがあるという。

東大阪市の教科書採択の実態 (グループZAZA 2015-07-28)

育鵬社は選定委員会答申には歴史も公民も入っていませんでした。しかし教育委員会は公民には育鵬社を採択しました。その理由は選定委員会の中の保護者代表が現行の教科書がいいと言ったというものです。

選定委員会には日本会議東大阪支部の関係者が入っているのですが、しかしその人物の主張は選定委員会では受け入れられず、育鵬社は答申には入らなかったのです。2011年のときは無理やり選定委員会答申に育鵬社を入れて教育委員会が決めたのですが、今回は答申にも入ってないのに育鵬社を決めたのですから、あまりにもひどい暴挙です。

現行の教科書を採択するといいながら、地理と地図、歴史は現行とは違う教科書を採択したのですから、ご都合主義もいいところの茶番でした。

市民たちは会議のあいだ中、抗議をし、2人の市民は退場させられ、乾委員長の高圧的な会議運営もひどいものでした。

本日の育鵬社採択は野田市長の意向を忠実に実行したものでしたが、歴史も含めて採択しようとしていた野田市長に公民だけで断念させたともいえます。

 自分たちが強引な運営をするのは当然のことだが、自分たちの意に沿わない結果になった選定委員会に対しては、自分たちがしてきたことをそのまま相手がしているかのように言い立てて「強引な運営」と描くという、とんでもないご都合主義である。

 学校の意向を受けた教育委員会事務局が保護者の意見を排除したのではなく、特定の政治的主張を持つ勢力が強引に育鵬社をねじ込んだというのが事実である。