「学び舎」教科書採択で育鵬社系勢力が異常な反応

 2015年夏の中学校教科書採択では、今回から新規参入した「学び舎」歴史教科書がいくつかの私立校で採択されている。「学び舎」教科書は現場の教員の意見や授業実践を元に作られ、史実がていねいに書き込まれたつくりとなっている。

 当方で「学び舎」教科書の採択が確認できたのは、大阪府の金蘭会中学校・建国中学校・大阪桐蔭中学校、埼玉県の自由の森中学校・大宮開成中学校・昌平中学校の計6校。

 一方で、育鵬社教科書採択を支持する極右ブログによると、いくつかの国立学校や、東京大学にも多くの進学者を出すような有名私立中高一貫校でも学び舎教科書が採択されたとして、下品な表現も交えながら狼狽し、「教科書改善運動の新たなテーマは学び舎教科書の放逐」とも言及し、国立学校と有名私立校に的を絞って抗議を呼びかけている。

 育鵬社系ブログで名指しされた国立・有名私立校での採択の事実関係については、当方では現時点では未確認なので、具体的な学校名をあげることはここでは控える。

 育鵬社系ブログが、学び舎教科書について「泡沫」「当初、学び舎の採択はわけの分からない私立中数校だと見ていました」(「わけの分からない私立中」という言い方自体が、教育観点ゼロのひどい内容ですが)などとうそぶきながら、国立学校や有名私立中高一貫校での採択が複数あったとして異常に反応しているのは、逆に言うと育鵬社教科書勢力がどこを重点的に狙っていたのかを示していることにもなり、それがうまくいかなかったから衝撃を受けて騒いでいるようにも見える。

 受験や偏差値で学校の序列などを付けるのは、当ブログとしては本意ではないとは考えている。しかし一般に、国立学校や県立・私立の中高一貫校は、卒業生が有名大学に進学したり、大学卒業後は政治・行政・産業などの中枢で仕事をする場合も多く、世論に影響を与える立場になる場合もあるとされる。

 いくつかの県立中高一貫校での育鵬社教科書の採択が重点的に狙われたのも、育鵬社に近い立場の首長・教育委員による政治介入のほか、「エリート」候補に押し付けるという理由もあったと考えられる。

 そして、育鵬社支持勢力が「自虐史観・反日」などと特に口を極めて罵り『産経新聞』でも名指しで非難記事が出された「学び舎」が、公立では採択がなかったとはいえども、国立や有名私立で採択されたとされているのは、育鵬社支持勢力にとっては衝撃へとつながったのだろう。

 育鵬社系や自由社系の策動については、政治や行政主導で強引に押し付ける特徴がある。これはすなわち、学校の自主性や保護者・市民の世論を極端に恐れているという致命的な弱点があるということにもなる。ということは、学校の自主性を尊重し、保護者や市民の世論を広げれば、封じ込める展望が見えてくる。