育鵬社全国シェア、前回を上回る見通し

 2015年夏の教科書採択で、2016年以降4年間使用される教科書について、生徒数比でみた育鵬社教科書の全国シェアが、歴史・公民とも現行シェアの4%を上回る見通しになったと各紙が報じている。『毎日』では「6%を超える見通し」、『朝日』では「微増しそう」と表現している。『産経』は「前回の1.5倍」と表現していた。

 公立校の内容は、合計14都府県・29地域・31自治体(歴史26地域・公民23地域)、うち新規採択は15地域(歴史14地域・公民10地域)となっている。公立についてはおそらくこれで出そろったと思われる。

 私立校でも現在4校での採択が明らかになっているが、この他に私立校数校程度での採択があるとみられる。

 一方で、前回育鵬社教科書を採択したが今回は取りやめた地区・学校は、東京都大田区・広島県尾道市・愛媛県今治市と、神奈川県立平塚中等教育学校、私立の相愛中学校(大阪府)となっている。取りやめる地区や学校が出た一方、それを上回る勢いで新規採択を許してしまった形になった。

 数字の上でシェアが増加したのは、教科書採択区域としては生徒数・学校数とも全国最大の横浜市(1学年約27000人)、および全国2番めの大阪市(1学年約18500人)でいずれも育鵬社版の歴史・公民教科書が採択される状況になったことも影響している。

 また都道府県別に見ると、生徒数比で育鵬社のシェアがとんでもないことになっている府県もある(生徒数および使用冊数は概数)。

  • 愛媛県の中学校では、歴史は生徒数比では過半数を超えて55%前後・公民は10%強のシェアとなった(1学年約12500人、歴史約6900冊・公民約1300冊)。
  • 神奈川県の中学校では、歴史・公民とも4割近くを占めた(1学年約78500人、歴史・公民とも約30500冊)。
  • 大阪府の中学校では、歴史は約4分の1、公民は3割強となった(1学年約82000人、歴史約20500冊、公民約26000冊)。

 以上の3府県では、生徒数の一番多い府県庁所在地で育鵬社が採択され、その他にも採択した自治体が出た形になった。これだけ多くの教科書が、歴史教科書は中学1年生に配布されて1・2年および3年の初めまで使用され、また公民教科書は中学3年生に配布されるのは、正直ぞっとする。

 育鵬社採択の背景には、政治的なゴリ押しなどもある。採択の背景を分析しながら、採択されたところでは抗議するとともに、4年後に向けて採択させないための取り組みを考えていきたい。