2015年教科書採択:愛知県では育鵬社・自由社採択はなし

 朝日新聞2015年9月5日付『愛知)育鵬社版の採択なし 来春の中学教科書決まる』によると、愛知県内の公立中学校採択地区では、育鵬社および自由社の教科書を採択した地区はなかった。

 一方で同記事では、育鵬社採択の危険が高いといわれながらも、採択を回避した名古屋市での際どい状況も紹介されている。

 名古屋市では7月29日に採択のための教育委員会会議があったが、委員6人中2人が育鵬社を推し、最後は無記名投票で決めた。従来は教育現場からの意見集約をもとに、教育委員での協議で決めていた。投票で決めたのは、市教委の担当者が把握している限り初めてだということである。

 しかし首長が教育委員会への関与権限を強化できるような法改正がなされたことで、名古屋市では教科書採択に際して河村たかし名古屋市長の影響も見え隠れしていると指摘されている。

 河村市長は2011年の教科書採択時、「大変ショック。一方的な自虐史観に基づいた、何でも謝っておけばいいという国家像に対しては、みんなで立ち上がらなくてはいけない時だ」と市議会答弁をおこない、極右教科書が選ばれなかったことへの不満を示していた。

 名古屋市教委は河村市長の意向を反映する形で、極右教科書関係者を招いた公開討論会を開催するなど、極右教科書への誘導を図っているとみられる動きを見せていた。

 最終的には採択を阻止したものの、際どい状況だったといえる。

 他地域でも育鵬社を採択したところでは、首長の政治的意向が反映されたと思われるケースも目立つ。今後もこのようなことがあちこちで起きる危険性もあり、警戒を要する。

 なお、記事では『「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社』と紹介されているが、これは2015年現在ではやや古い認識に属するのではないか。「新しい歴史教科書をつくる会」が2005年教科書採択で大騒ぎした印象が強いため、「つくる会(系)」が極右教科書の代名詞的に認識されて使用されてきた面は否定できないので、便宜上「つくる会」系と説明したほうがわかりやすいのかもしれない。その一方で「つくる会」は内紛で分裂し、育鵬社の系譜は当時の反主流派が独立した「日本教育再生機構」「教科書改善の会」にあたる。「つくる会」の当時の主流派は現在でも存続し、自由社から極右教科書を発行している。

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