暴行・セクハラで剣道部顧問教諭を懲戒免職:大阪市

 大阪市立住吉第一中学校(住之江区)の剣道部で1990年代後半、当時の顧問教諭・江田昌彦(その後別の中学校の教頭を経て大阪市教育センター指導主事)が部員に対して暴力やわいせつ行為を繰り返していた問題で、大阪市教育委員会は2008年6月27日、江田を懲戒免職処分にしました。


 江田は保健体育科を担当し、1996年度に住吉第一中学校に着任しました。着任と同時に剣道部顧問に就任し、暴力やわいせつ行為が同校在任中ずっと続きました。また江田は、被害生徒に対して口止めを強要していたということです。
 2004年3月に保護者が事実関係を知り、大阪市教育委員会に訴えています。大阪市教育委員会が調査をしたものの、大阪市教委は江田の一方的な主張を鵜呑みにして「事実関係が確認できない」などとしていました。被害者はやむなく民事訴訟を起こし、2008年5月に大阪地裁で、被害事実が全面的に認定され、大阪市に損害賠償を命じる判決が出ています。なお、この訴訟で原告となった被害者のほかにも、江田の暴力行為・わいせつ行為の被害者は多数いるということです。
 大阪市は地裁判決を受けて、江田に改めて事情を聴きましたが、「江田の主張に、裁判で明らかになった内容を否定できるような具体性はない」と判断し、控訴断念と懲戒免職に踏み切りました。
 約1年前の2007年6月に発覚した大阪市立田辺中学校(東住吉区)の全裸ランニング事件では、加害教師は「停職2ヶ月・停職期間満了後研修措置なしで現場復帰・実名公表なし」だったことと対比し、正直言って「今回も実名公表と懲戒免職は無理ではないか・控訴して争うつもりではないか」と感じていました。しかし今回は、実名公表と懲戒免職がきっちりおこなわれたことで、ひとまず安堵しました。大阪市は国家賠償法に基づき、市から支払われた賠償金相当額を、江田個人に対して弁済を求めるべきです。
 しかしこの問題は、きっちりと対応していれば、裁判に至る前に早期に解決できたのではないかという後味の悪さも、同時に残ります。最初の被害から約12年、大阪市教委に訴えが寄せられてからでも4年、被害者にとってはあまりにも長すぎる時間です。
 そもそも、「教師の暴力行為」を訴えること自体が、生徒や保護者にとっては勇気のいる行為です。状況証拠からどう見ても「教師の明白な暴行」であることは否定できないというケースでも、「被害者は暴力を受けて当然」かのように描いて教師を擁護し被害者を「クレーマー」「モンスターペアレント」かのように口汚く攻撃する、悪質な保護者・地域住民が多数現れるというのも珍しくありません。教師の暴力行為の「でっち上げ」など、全く不可能です。誤解を恐れずに書くと、教師の対生徒暴力(いわゆる「体罰」を含む)は、経験的に「火のないところに煙は立たぬ」ということが該当します。教師の暴力「でっち上げ」事件など、加害教師が自己正当化する手段としての妄想は別として、現実世界では見かけたことはありません。
 大阪市教育委員会は結果的に、江田の主張を一方的に鵜呑みにした結果、間接的な形ながらも4年間にわたって江田の行為を正当化してしまった形になっていました。江田の行為を正当化するということは、裏を返せば「被害者を『虚偽申告をおこなって教師を陥れようとしたクレーマー・モンスターペアレント』かのように位置づける」ことにもつながってしまいます。
 江田の懲戒免職処分は当然といえども、大阪市教委の組織としての責任は免責されるわけではありません。大阪市教育委員会の調査が適正なものだったのか改めて見直し、今後の教訓としていくべきです。
 また江田が事件発覚と前後して教頭に昇任し、また市教育センター指導主事を歴任したことなどについても、問題教師を「実力のある教師」と見なしたことに等しく、検討が加えられなければなりません。