育児休業取得で保育所退園は違法と提訴

 母親が出産に伴って育児休業を取得した場合、保育所に通っている上のきょうだいを原則として保育所から退園させると決めた埼玉県所沢市の方針は違法として、市内の保育所に子どもを通わせる保護者8世帯11人が6月25日、所沢市を相手取り、退園差し止めを求める訴訟をさいたま地裁に起こした。

 また早期の判断を求める仮差し止めも申し立てた。

 『時事通信』2015年6月25日配信の記事によると、所沢市がこのような方針を導入したことについて、以下のように触れられている。

 所沢市は、育児休業中の保護者は家庭で保育が可能と判断。退園で空いた受け入れ枠を他の子どもに回すことにより、待機児童問題解消にもつながるとして導入した。
 これに対し保護者側は訴状などで、保育園は子どもの生活の一部であり、「退園により生活環境が一変すれば、人格形成に甚大な悪影響を及ぼす」と主張。さらに「育児休業は単なる休暇ではなく、休業後の復帰の準備期間であり就労の一形態だ」とし、市の運用は「子ども・子育て支援法施行規則の解釈・適用を誤り違法」としている。

 これは所沢市の方針が意味不明すぎる。しかも、保育所の増設をサボって児童を追い出し、空いた枠を別の待機児童に回すとしていることは、所沢市の保育行政の根本的な問題点の改善には目を向けず、保護者同士の無用な対立まで生みかねないものとなっている。

 保護者側の主張は具体的である。子どもを保育所に預けるということは、同時に保育所という生活の場を通じて、子ども自身の成長や人格形成にもつながることでもある。荷物を預けているのではなく、人間にかかわることだから、安易な措置をとってはいけないのは明白である。

 また保育所を退園させられるという不安があれば、2人目以降の子どもを産み育てることを躊躇したり、育児休業取得にも足かせになりかねない。これでは子育て環境を萎縮させるだけで、充実にはつながらない。

 これらは単に当該保護者の個人的な都合ではなく、社会全体での子どもの成長や子育て環境そのものにも関わってくるものである。所沢市の対応は非常識で異常と言っても言い過ぎではないだろうと感じるし、早期の解決が望まれる。

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