道徳教科書検定基準の素案まとまる:文科省

 次期学習指導要領より「特別の教科」と位置づけられる道徳について、文部科学省の審議会は6月22日、道徳の教科書検定の基準の案を示した。

 教科書検定の専門委員に現場の教員を任命することや、学習指導要領に示した項目を網羅しているかなどを検定の基準にするとしている。

 道徳教育は、個々の児童・生徒の内面を育成することから、社会や自然の客観的事象の理解を基礎としている他教科とは異なる特徴を持つ。教科化やそれに伴う教科書検定・成績評価などによって、特定の方向性、すなわち時の政府にとって都合のいい価値観を一方的に押し付けられる、もしくは教科書の記述や成績評価などによって児童・生徒が誘導される危険性もあるものである。

 これでも『産経新聞』は、「社会科の検定基準にあるような政府見解に基づく記述の尊重を求める項目などはなく、道徳教科書からイデオロギー色を排除できるかどうかが課題になりそうだ。」と批判的に論じている。これはすなわち、文部科学省の方針ではまだまだ道徳・価値観の押し付けが足りない危険性があるからもっとやれという立場からのものであると理解していいだろう。

 時事問題や歴史などについて、国際紛争になっている場合や有力説が並立している場合などの「政府見解に基づく記述の尊重」は、社会科でも「一方的な押し付けにつながりかねない」と批判が出ている。道徳教育に「政府見解を求める記述」などを求めるなど、それこそが「イデオロギー」そのものではないか。

 道徳教育を教科にするという出発点からして問題があるから、その前提にメスを入れないまま教科書検定などの論に踏み込んでも、前提自体に問題があるのだから、問題点を広げるだけになるのではないだろうか。

(参考)
◎「道徳」教科書 検定基準の方針まとまる(NHKニュース 2015/6/22)
◎イデオロギー色排除できるか不透明 道徳教科書検定基準骨子案(産経新聞 2015/6/22)