小中一貫校:参議院文部科学委員会の参考人質疑

 小中一貫校を法的に制度化する学校教育法改正案について、6月11日の参議院文部科学委員会で参考人質疑がおこなわれた。

 参考人3人が発言した。教育学者の佐貫浩法政大学教授が、東京都品川区での具体例をあげて、小中一貫教育は教育学的に根拠が薄いと指摘している。

 佐貫氏が指摘した内容は、以下の内容である。

  1. 第一の目的は学校統廃合。18小中学校が6小中一貫校に統合され、9校の校地が学校外用途に転用された。4校が1000人規模の大規模校になり、学校敷地が非常に狭い過密状態になった。
  2. 運動会で小学校高学年児童が活躍できなくなるなど、高学年のリーダーシップが発揮できない。品川区のカリキュラムでは、小学校6年間の教育漢字を小学校5年までで学ぶことになっている。詰め込みで漢字が嫌いになったと保護者や教員の声がある。
  3. 区独自の教科「市民科」を設置し、区が教科書を作っている。首長や行政の教育内容への不当な支配に繋がる恐れ。
  4. 品川区では中1段階で約半数が外部から入学し、6年卒業時に私立中学校などへの進学で3分の1の児童が他校に進学するケースもある。小中一貫校の「不連続」がみられる。学校選択制と結びつくと状況はさらに悪化する。
  5. 「中1ギャップ」は小中の接続の問題ではなく、中学校独特の管理教育が大きな原因。「中学プロブレム」と呼ぶべきもの。

 そのうえで、中学校の競争・管理教育の前倒しでは問題は解決しない、このような教育改革は賛成できないと主張した。

 小中一貫校についてはメリットを指摘する論者もいるが、このようなデメリットも目立つものである。学校教育法改正で既存の小学校・中学校と並立する形で小中一貫校が設置できるようになることは、学校制度の複線化という意味でも問題だが、現に発生しているデメリットの点からも慎重に検討されなければならない。

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