育鵬社教科書の記述の異様さを指摘する「赤旗」記事

 『しんぶん赤旗』2015年6月11日付が、育鵬社の中学校社会科歴史教科書の記述の異様さについて、歴史教育協議会の石山久男氏と赤旗記者が教科書を読んだ上で検証する記事を書いている。

 太平洋戦争では、育鵬社版では「自存自衛」の扱いをおこなっていることを指摘している。他社の教科書では、「旧日本軍の侵略・侵攻に対して撤兵を求めるアメリカに反発して戦争を起こした」とする記述となっていることと対照的である。

 また日本の戦争が「アジア解放の立場」とする特異な歴史観で描いていることも問題になっている。石山氏は以下のように指摘し、「日本の戦争のおかげでアジア諸国が独立できた」という主張を否定している。

「期待したのは最初のうちだけで、日本軍の支配の過酷さはそれまでの英仏などを上回りました。そもそも解放と言いながら、朝鮮は植民地のまま、占領地のうち現マレーシア、インドネシアの地域は独立させず帝国領土とすると決めていました。もし将来、育鵬社の教科書で学んだ子どもたちが、『日本はアジア解放をした』とアジアの人々に言ったらどうなるでしょう」

 沖縄戦の記述についても言及がある。当ブログでも以前に指摘した内容とも重なるが、育鵬社の記述では「集団自決」への日本軍の関与を示していない。また戦時下の生活についても、美談調に描いている問題がある。

 戦後日本の民主化については、育鵬社教科書では連合国の圧力をことさらに強調し、日本の過去は誤っていなかったかのように描いていると指摘している。

 これらの問題を指摘し、記事では「あの戦争は正しかったと説く教科書でいいのか。国民一人ひとりに問われています」と結んでいる。

 今回の記事では育鵬社歴史教科書での太平洋戦争から戦後の民主化に関する部分だけではあるが、これほどの大きな問題がある。また他の時代の記述や公民教科書についても、異様な記述が目立っている。

 育鵬社だけでなく、育鵬社とルーツを同じくするいわゆる「つくる会」系右派の自由社教科書の記述も、似たような問題がみられる。

 こんな極右教科書、学問的には間違っているといえるものだし、特殊な思想信条を子どもたちに植え付けようとするような危険な代物である。

 2015年7月から8月にかけて、2016年度から4年間使用する中学校教科書が各自治体で採択される予定になっている。この危険な教科書を政治的に押し付けようとする動きが各地で強まっているが、採択させない取り組みが必要になっている。