『君が代 不起立で処分される教師』(毎日新聞)

 『毎日新聞』2008年3月26日付『記者の目』に、『君が代 不起立で処分される教師』と題する記事が掲載されています。


 記事では東京都で停職処分を受けた教員の事例を紹介し、東京都の『君が代』不起立問題での締め付けは際だっていることも紹介しています。また「国旗・国歌法」制定当時の官房長官だった野中広務氏が取材に対し「東京の処分は間違い。私は答弁で、人の内心まで入ってはいけないと言った」と発言していることも紹介しています。
 その上で記事では、以下のような重い指摘をおこなっています。

 君が代不起立は、授業をしないとか、生徒を傷つける言動を繰り返すといった事案とは異なる。処分を巡る司法判断は分かれるが、「10・23通達」を違憲とした06年9月の東京地裁判決が「皇国思想や軍国主義の精神的支柱として用いられ、現在も宗教的、政治的に価値中立的なものと認められるまでには至っていない」と君が代について指摘したように重い歴史のある問題だ。
 大阪府内のある学校の卒業式で、「強制反対」と声を上げた教師が威力業務妨害で告発される「事件」を取材したことがある。立件されることはなかったものの、異様な力を感じた。
 私たちは、多くの命が奪われたアジア・太平洋戦争から、「お国」も間違うことを学んだ。国旗・国歌はそれぞれ歴史を持つ「お国」の象徴だ。国民それぞれに思いがあるのは自然だ。
 「良心に基づく不服従」への処分は、東京都だけの問題ではない。日本社会のありようが問われている。

 「君が代不起立は、授業をしないとか、生徒を傷つける言動を繰り返すといった事案とは異なる。」という指摘は全く当然です。君が代不起立については、教師としての資質・能力にも何ら関係のないものです。教師としての資質が根本から問われるような、児童・生徒いじめをおこなう教師などよりも悪人かのように扱うようなレベルの問題ではありません。
 君が代については内心の自由ですし、他者の人権を侵害するような性質のものでもありません。また強要派が根拠とする学習指導要領ですら、卒業式を含む特別活動については児童・生徒の自主性を尊重することが定められています。卒業式のやり方を行政が一方的に押しつける行為は、そもそも学習指導要領に違反しています。すなわち強要そのものが違憲・違法行為のため、強要には全く根拠がなく、したがって処分にも根拠がないといえます。それにもかかわらず誤った強要が押しつけられることは憂うべきことで、早期の改善が求められます。