教科書採択、首長の意向に拘束される義務なし:国会答弁

 文部科学省は4月22日の国会答弁で、改訂地方教育行政法(4月1日施行)によって首長が定める「教育大綱」の中で、首長が教科書採択方針を掲げた場合でも、教科書採択権は教育委員会固有の権限として、教育委員会が首長の大綱に拘束される義務はないとした。畑野君枝衆議院議員(日本共産党)の質問への答弁。

 教科書採択については、従来から教育委員会の権限にあるとされてきた。実際にはすべての校種や教科に精通しているわけではない教育委員だけで教科書の内容を判断するのは実質的に不可能なこともあり、公立の義務教育諸学校では教科の内容や子どもの事情に精通している現場教員らが調査研究に参加して研究結果をまとめた上で、教育委員会として最終判断をおこなっている。

 一方で、政治主導で特定の右派的な教科書を押し付けようという動きも、ここ10年来各地で強まっている。右派教科書を押し付ける勢力やその支持者は、現場の教員の意見や教育委員の自主的な判断を敵視し、首長のトップダウンでの採択を狙うような動きを見せている。

 右派教科書とつながりが深い日本教育再生機構は、「教育委員は『大綱』に示された方針に従って教科書採択をしなければならなくなった」と主張し、改訂地方教育行政法による教科書採択への首長介入を呼びかけていた。しかしそういった行為が法の趣旨から逸脱していることが、答弁で明らかになったといえるだろう。

 文科省での答弁が引き出されたと言っても、これで安心できるというわけではない。国旗国歌法で「強制は望ましくない」とした国会答弁が出されたにもかかわらず、各地の教育委員会が入学式・卒業式での「君が代」起立斉唱強制をおこなっている前例もある。答弁を実効あるものにしていけるのかは、今後の取り組みにかかっている。

(参考)
◎教科書採択 「首長に権限ない」 畑野議員に文科省答弁 衆院文科委(しんぶん赤旗 2015/4/23)

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