「大阪都構想」は大阪市立幼稚園・保育所の民営化を知事・市長に委ねるもの

 大阪市を廃止・解体して現大阪市域に特別区を設置しようと図っている、大阪市廃止分割構想(いわゆる「大阪都構想」)を具体化した「協定書」に、大阪市廃止までの間に大阪市立幼稚園・保育所などの民営化を進めるとする文言がある。

(二)職員の移管

 大阪府及び大阪市の職員は、原則として事務の分担に応じて、特別区の設置の日において、特別区又は大阪府のいずれかの職員として引き継ぐこととする。

 ただし、大阪市の職員のうち、特別区の設置の日前において、幼稚園、保育所、一般廃棄物の収集輸送事業、高速鉄道事業、中量軌道事業、自動車運送事業又は水道事業に従事する職員は、特別区の設置の日までの間に民営化が実現されない場合には、幼稚園、保育所、一般廃棄物の収集輸送事業及び水道事業の職員は、当該職員が専ら従事している業務の管理区域が属することとなる特別区の職員として引き継ぐことを基本とし、高速鉄道事業、中量軌道事業及び自動車運送事業の職員は大阪府の職員として引き継ぐことを基本とする。

(協定書13ページ)

 大阪市立幼稚園の教職員・市立保育所職員や、ごみ処理に携わる大阪市環境局職員(一般廃棄物の収集輸送事業)、大阪市交通局の職員(高速鉄道事業=大阪市営地下鉄、中量軌道事業=ニュートラム、自動車運送事業=大阪市営バス)、大阪市水道局の職員(水道事業)について、特別区設置までに民営化が実現しない場合には特別区職員や府職員へと移行するとしている。

 これは言い換えると、大阪市の廃止と特別区設置が決まれば、特別区への移行までに大阪市の幼稚園・保育所・ごみ処理・市営交通・水道事業を民営化するということに等しい。

 仮に民営化が前提でなければ、これらの事業に携わる職員についても一行目の「大阪府及び大阪市の職員は、原則として事務の分担に応じて、特別区の設置の日において、特別区又は大阪府のいずれかの職員として引き継ぐこととする。」に含まれるはずで、このような注釈をつけて言及する理由はないということになる。民営化を前提としているからこそ、わざわざこのような注釈をつけたといえる。

 しかも「協定書」では、大阪市廃止が決定した場合には、大阪市廃止と特別区設置に必要な事項は、大阪府知事と大阪市長の協議によって決定できる、すなわち議会を通さなくても知事・市長の裁定で決定できるとしている。

5.その他

 その他、特別区の設置に伴い必要な事項については、この協定書に示した考え方を踏まえ、処理することとする。
また、特別区の条例や予算など特別区の設置の日までに準備すべき事項については、その内容に応じて、大阪府知事と大阪市長が必要な協議を行い、定めることとする。

(協定書18ページ)

 市立幼稚園・保育所その他市営事業の廃止や民営化について、知事と市長が「特別区設置に必要な事項」と目をつければ両者の協議だけで廃止・民営化できるということにもなり、一般的な行政手続きとしても極めて危険な内容である。

 しかも大阪市立幼稚園・保育所の民間移管や廃止については、この間に住民運動の高まりや市議会でのやりとりの末に、市議会で否決されてきたものである。大阪市解体を進める橋下徹大阪市長や大阪維新の会は、全園の民営化を進めようとしてきた。しかし市民からの反発で、一気に民営化する法案は出せず、何回かに分けて民営化を図るべく、まずは一部の園からと廃止条例案を出した。それでも対象となった各地域で強い反発の声が上がって、保護者や地域住民から反対の住民運動が起き、市議会でも「地域の児童の大幅減少で閉園やむなし」と判断された一部を除いて否決されているものである。

 5月17日の住民投票で「協定書」への「賛成」が一票でも上回って承認されれば、大阪市の廃止・解体へと動くことになる。そうなると、住民からは強い反対の声が上がっている市立幼稚園・保育所の廃止や民営化が、大阪府知事と大阪市長の独断で、議会を通さずに決定されることにもなりうる。

 これは大阪市の市民生活に取り返しのつかない影響になることはもちろん、これが「前例」となって全国的にもこのような異常なことがゴリ押しされる危険性もある。住民投票では「反対」の意思表示を願うものである。

スポンサードリンク