中学校教科書検定結果まとまる:政府見解に沿った記述求められる傾向

 文部科学省は4月6日、2016年度から使用される予定の中学校教科書の検定結果を発表した。

 安倍政権によって、政府見解を反映させるよう求めるような教科書検定基準を策定してから初となったこの教科書検定では、日本軍「慰安婦」問題、関東大震災の混乱下で起こった朝鮮人虐殺問題など、政府見解によって「通説がないことを明示せよ」として、記述があいまいにされたり後退させられる事例が出た。

 また領土問題についても、記述を強化するよう求めた学習指導要領解説書改訂を受け、政府見解に沿った立場での記述が増えている。

 また極右的な内容の育鵬社・自由社の教科書が、引き続き検定を合格した。自由社は社会科歴史的分野、育鵬社は歴史と公民の2種類が検定に合格している。

 育鵬社公民教科書では、戦前の大日本帝国憲法は高く評価し、日本国憲法を軽視して改憲の方向へと誘導している。現行教科書よりもさらに右傾化した記述となっているという。

 日本国憲法がうたう基本的人権では、現行教科書にあった「憲法に保障された権利と自由が次の世代にも受け継がれるように努力しなければなりません」の文言は削除。教育・勤労・納税を「国民の義務」と強調し、脚注では、「多くの国の憲法では国防の義務を課してい」ると新たに挿入しました。

 「平和主義」の単元では、記述の大半を自衛隊に割き、他国の憲法を引きながら「国防の義務」を強調。自衛隊には違憲論もあると述べていた脚注は削除しました。

 「集団的自衛権」は、「同盟関係にある国の防衛を支援し、おたがいに協力しようとする権利」と述べ、現行本の「自衛」の表現を「防衛」に書き換えました。

 「平和主義と防衛」の単元を挿入し、コラム「沖縄と基地」のなかで、「日米安保体制は日本の防衛の柱であり、アジア太平洋地域の平和と安全に不可欠」と記述。住民の苦悩や基地撤去を求める運動には一切触れず、「普天間飛行場の辺野古への移設などを進めています」と、安倍政権の主張を伝えています。

(しんぶん赤旗2015年4月7日『育鵬社と自由社の教科書 憲法敵視、改憲へ誘導 引き続き侵略戦争美化』)

 育鵬社教科書の記述は、極めて危険なものである。

 7月~8月にもおこなわれる見通しとなっている次回中学校教科書採択では、右傾化した教科書を採択させてはならない。

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