森友学園問題:小学校の「設置趣意書」開示

 政府は11月24日、学校法人森友学園が大阪府豊中市で設立を計画していた小学校の「設置趣意書」を公開した。

 同学園をめぐっては、国有地が同学園に売却された際に不適切な値引きがおこなわれた疑惑が指摘されていた。

 国有地売却手続きの際に学園側から国(近畿財務局)に提出された「設置趣意書」については、開示請求に対して、小学校の名称も含めて開示は黒塗りとされた。非開示理由については「学校経営のノウハウが公にされる」などとした。

 森友学園の籠池泰典前理事長が「安倍晋三記念小学校を設置したい」と話していたこともあり、届け出た学校名称は「安倍晋三記念小学校」ではないか、だから隠したのではないかとする観測もされていた。

 開示された文書では、新設される学校の名称は「開成小学校」となっていた。安倍晋三首相や、首相の妻・安倍昭恵氏については言及されていない。

 しかし、当初観測されていた「安倍晋三記念小学校」の名称ではないから、観測は外れていたから問題はないと見なすのは早計ではないかといえる。

 開成という単語そのものには、隠すような意味はない。中国古典の『易経』繋辞上伝の中の「開物成務」に由来し、「事物を開発し事業を成就する」という意味である。江戸幕府の洋学教育研究機関「開成所」やそれを復興する形で明治時代初期に設置された「開成学校」が現在の東京大学につながっていることをはじめ、学校や学習塾などの名称として採用されることもあり、またその地域に設置された教育機関の名称が周辺の地名へと転化するケースもあるなど、普遍的な単語ではある。

 一方で森友学園に関連して「開成」という名称で思い浮かぶのは、籠池氏らが大阪市住之江区・南港ポートタウンで経営していた系列幼稚園(休園中)の「開成幼稚園」。

 当初は「南港さくら幼稚園」の名称だったが、2012年に「開成幼稚園幼児教育学園」へと改称している。「開成」の名称は、この開成幼稚園(旧・南港さくら幼稚園)の名称を連想させるからと考えるのが自然ではないか。

 「開成小学校」の名称を隠す理由があるとすれば、「安倍晋三首相などが政治家としての信条では強く支持する内容でも、政府としては公然と肯定できないものを連想させることになるのは避けたい」ということ以外に、思い当たる節がない。

 籠池氏らは先代から幼稚園経営を受け継いで以降、極右的な教育方針を強め、2000年代になると教育勅語の暗唱などを幼稚園教育に取り入れた。その特異な教育方針は、2006年7月に共同通信を通じて、籠池氏らが運営していた塚本幼稚園(大阪市淀川区)と南港さくら幼稚園の実名を名指しする形で全国に新聞報道もされている。

 「共同通信」7月1日付によると、大阪市淀川区の私立塚本幼稚園と、大阪市住之江区の私立南港さくら幼稚園で、年長組の園児約120人に教育勅語を...

 また報道によると「設置趣意書」には、具体的な経営のノウハウではなく、「日本国民としての自覚を持ち、大いなる志をもって青少年の教育にまい進することを決意した」「山があり、白い雲の浮かんだ青い空がすっきりとみえ、目いっぱいに広がる田畑が眼いっぱいに広がっている風情。日本人の一番大好きな景色であります」などの教育理念が書かれていたという。

 こんなもの、別に学校経営上の最高機密とはとても考えられないような一般的な話でしかなく、普通は隠す理由など考えにくいはずである。

 なぜ、「学校経営のノウハウ」などとして公開するのを拒んだのか、理解に苦しむ。

 教育勅語を肯定し教育方針の根幹に据えるようなとんでもない学校法人を、国として支援しているという事実をごまかすために、学園の存在自体を隠そうとしたのではないかという疑惑も浮かぶ。