全裸ランニング強要で停職の教師が復帰後に自殺:大阪市

 大阪市住吉区の南海高野線踏切で1月17日早朝、列車飛び込み自殺事件が発生しました。その後の調べで自殺者は、「2005年夏、顧問を務めていたサッカー部で全裸ランニングを強要した」として2007年9月に停職2ヶ月の処分を受けていた、大阪市立田辺中学校の男性教諭(48)と分かりました。

 この教諭は、停職期間が明けた2007年11月から、元の田辺中学校に復帰したということです。サッカー部の顧問は外れ、国語の授業を担当していたということです。自殺の動機ははっきりしていませんし全裸ランニング強要事件との因果関係も不明ですが、複数の報道によると「教諭は職場の人間関係や保護者への対応で悩んでいた。そのストレスで体調を崩して通院していた。自殺前日は体調不良で休みを取っていた」ということが報じられています。

 教諭自殺という結果になったことは、現時点で判明している事実関係を元にして判断すると、「大阪市教育委員会のおこなった対応が最悪の形で現れたのではないか」という印象を受けます。

 まず、そもそもの原因となった全裸ランニング強要事件ですが、犯罪行為として刑事責任を問われても仕方のない行為です。実際に同時期に類似事件を起こした、おかやま山陽高校野球部監督(当時)・池村英樹には執行猶予付き有罪判決、愛媛県四国中央市の小学生スポーツ少年団チーム監督(当時)・尾崎靖雄には実刑判決(本業の市職員としても懲戒免職)がそれぞれ確定しています。

 教諭の行為は、懲戒免職相当の行為だといえます。しかし実際は停職2ヶ月の処分でした。

 しかも停職期間明けに研修措置に付すなどの対応をとらずにそのまま元の学校に復帰させたのでは、周囲の人間関係がぎくしゃくするのも目に見えています。

 同僚教職員にとっては、犯罪行為として立件されてもおかしくないような重大問題を起こした人と一緒に仕事をしにくいでしょう。しかも過失での事故などではなく、故意での行為、しかも職務上の立場を悪用して子どもに危害を加えるという、教師として絶対にやってはいけない最悪行為での処分です。この教諭を元の学校に復帰させたことで、職場の雰囲気がおかしくなるのも目に見えています。

 また生徒・保護者や地域住民の中に、「この教師のもとで習いたくない」「このような教師のいる学校に子どもを預けられない」と反発する人が出ることも目に見えています。

 教諭を元の学校に復帰させたことでこういった問題が発生するのは、別に予想不可能なことではありません。

 「教諭の自業自得」という考え方もありえるかもしれませんが、教諭個人の問題だけではなく、人間関係がぎくしゃくして雰囲気が気まずくなるのは周囲の人にとっても困る話です。

 報道ではこの辺のことが報じられていませんが、「全裸ランニングの被害者に2005年当時の1年生(2007年度の3年生)が在学中」ということもなかったのかということも、あわせて気になるところです。もっとも被害者が全員卒業していたとしても元の学校への復帰ではぎくしゃくしますが、被害者が在学中ならば余計に反発も大きくなる危険性もあります。

 処分確定の2007年9月の時点で、懲戒免職ではなく停職2ヶ月の処分にしたうえ元の学校に復帰させた大阪市教育委員会の行為は、教育委員会にとっては温情のつもりだったとしても、実際はそれが裏目に出たのではないかと感じます。むしろ2007年9月の時点で懲戒免職にしておいた方が、教諭本人にとっても温情ではなかったかと感じます。