道徳成績「入試合否判定に使わない」徹底へ

 入学者選抜を実施する私立・国立の中学校、公立中高一貫校、中等教育学校のうち約半数が、選抜に際して各評価の評定が記された通知表のコピーを提出させ合否判定に活用していることが、文部科学省の調査で11月27日までにわかった。

 衆議院予算委員会で同日、長妻昭衆議院議員(立憲民主党)が、「2018年度より実施される道徳の成績が、入学者選抜での合否判定に活用されることにもなりかねない」とする質問をおこなった。

 林芳正文科相は、「道徳の評価を入学試験に使わない趣旨の徹底を図りたい」とする答弁をおこなった。

 答弁の内容そのものは当然の方向で、実行ある徹底策が求められる。

 道徳を「特別の教科」に移行することで、教師は各児童・生徒に対して、成績評定をおこなうことになった。

 道徳については、自然や社会の客観的知識の理解や、求められる水準の技能の習得といったものを評価基準とする他教科とは異なる特徴がある。

 道徳は、知識理解や技能取得にとどまらず、外部の事象に対して「自分はどう考えるか」「どう行動していくのか」など内面について考えていくことになる。そのため道徳については、その時代や社会状況の局面では多くの人に妥当だと思われているものはあってもそれが絶対的な永久不変のものではなく、外部の客観的事象の変化による時代や認識の進歩、また個人の内面の成長などの要素で、認識は発展しうるものである。

 特定の徳目を教え込むというやり方での道徳教育はなじまないし、時代遅れのものとなっている。

 しかし道徳が「特別の教科」に移行し成績評定がつけられるとなると、評価者、すなわち教師が設定した目標にどれだけ近づけるかなどが問われてしまうのではないかという危惧がされている。

 道徳の成績をつけることへの危惧が強く、文部科学省は数値評価をせずに文章記述でおこなうという方針を示した。しかしそれでも、問題点が根本的に解決するわけではない。文章記述でも、評価者が設定した目標に十分達しているのかどうかなどのことは読み取れることになる。

 さらに、入学者選抜や入学試験に活用されることになると、「学校受けがよい子ども」を恣意的に合格させるなど入試の公正性・公平性を損ねる恐れもある。それだけでなく普段の学校生活でも、教師の理想とするような動きを読みながら、教師の目に付くところではうまく立ち振る舞おうとする子どもが有利になるなどの危険性もあることにもなる。

 これでは、道徳教育が学校や教師にとって従順な子どもを作る手段にもなりかねない。

 そもそも道徳の教科化や成績をつけるという行為自体に重大な問題があり、その根本から元に戻していく必要がある。また当面の直面する課題としても、入試での合否判定には使わせないなどの実行ある措置と対策を徹底していく必要がある。

(参考)
◎私立中の合否判定に通知表活用「道徳」評価めぐり対応検討(NHKニュース 2017/11/27)
◎道徳評価「入試に使わないで」 通知表活用めぐり文科相(朝日新聞 2017/11/27)
◎道徳、入試不使用を徹底=林文科相(時事通信 2017/11/27)