大阪市長、教職員給与体系見直し方針表明:質の向上ではなく混迷深める危険性

 吉村洋文大阪市長は11月29日の大阪市会本会議で、市立学校教員の初任給を引き上げるなどの教職員給与体系の見直しをおこない、「頑張っている教員を評価する」として教員の質の向上につなげたいとする方針を示した。

 初任給の引き上げの一点だけみれば、事情を知らなければ「よいこと」かのよう見えてしまうかもしれない。

 その一方で大阪市では、初任給引き上げだけではなく、教職員の能力評価とセットになった教職員全体の給与体系の見直しを検討していると報じられている。

 2017年7月に報道された内容によると、一般教諭と主席指導教諭との間に新たな役職を設け、37歳までにその役職に合格しなかった教員ははそれ以降の昇給停止、合格した教員は職務の困難度に応じて加算給が上乗せされるなどと報じられた。

 教職員の実績や能力は、単一的な基準で測定できるようなものではないし、特定の個人の成果というよりは集団的な取り組みにもなってくる。

 無理やり個人の評定に結びつけると、学力テストの学校別・クラス別平均点や部活動の成績、管理職の好みなどによって、表面的ないしは主観的な評価がおこなわれる可能性が高くなる。教職員間の疑心暗鬼や足の引っ張り合い、教師にとって自分の評価を下げかねない「面倒な」児童生徒の排除など、よからぬことが起きる危険性がある。

 また現在でも「教育基本条例」によって、維新政治の大阪市では教職員・学校への締め付けが強まっている。そのため、現職教員は機会があれば他県や私学に転職したり早期退職する、教員志望者が大阪市・大阪府の教員採用試験受験を避けて他県に流れるなど、維新政治下の大阪市や大阪府を避ける傾向が強まっている。

 こういう根本的な原因を改めるどころか、さらに問題をこじらせる方向性での「対策」をとると、いくら初任給が高くなっても状況をさらに悪化させるだけではないか。

(参考)
◎教員の初任給引き上げる考え示す(NHKニュース 2017/11/29)