「ツタヤ図書館」設置構想:和歌山市、新図書館の指定管理者候補をCCCに決定

 和歌山市教育委員会は11月30日、2019年秋に南海電鉄和歌山市駅の駅ビル内に新設移転予定の新市民図書館の指定管理者について、「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」(CCC)を候補者として選定したと発表した。

 CCCは、DVDレンタルや書籍販売の店「TSUTAYA」の運営母体である。

 和歌山市では新図書館の指定に際して指定管理者制度を導入することにし、事業者を募集していた。CCCと、全国約500ヶ所の公共図書館の指定管理業務の実績のある図書館流通センター(TRC)の2事業者から応募があり、プレゼンなどを経てCCCを管理者候補者に選定した。市議会12月議会での議決を経て正式決定するという。

 CCCは、1階部分をスターバックスコーヒーや書籍・文具・和歌山の特産品販売コーナーにし、2階部分を独自の分類で蔵書を配置するなどとした提案をおこなった。

 和歌山市は、図書館運営の実績についてはTRCの方が高評価だったとしながらも、CCCの利用者ニーズに応じた空間イメージや自主事業の規模などを評価して、総合的に見てCCCを指定管理者の候補に選定したとしている。

 しかし他地域で「ツタヤ図書館」にまつわる事件や弊害が数多く報告されているのに、狭い意味での「集客」などそのような一面的な見方で貴重な市民の財産を危機にさらしていいのだろうか。

各地の「ツタヤ図書館」で起きた弊害

 CCCが指定管理者になっている、いわゆる「ツタヤ図書館」は、全国に数カ所ある。

 しかし「ツタヤ図書館」では蔵書の収蔵や配列など、運営方法に重大な問題があり、地域住民や図書館関係の有識者からは強い批判を浴びているものである。

 他地域で開館している「ツタヤ図書館」では、様々な弊害が生まれている。

 ツタヤ図書館では、図書館の蔵書だった地域の郷土史の資料を破棄していた事例も報告された。

 一方でツタヤの在庫を押しつけたのか、10年以上前の資格試験参考書や、図書館所在地から見て遠方にあたるラーメン店のガイドブックなど、首をかしげたくなる資料を大量に購入したという事例もあった。

 レイアウト一辺倒で、絵本が脚立を使わないと取れないような高い場所にあり、幼児が手に取って読めない事例や、表紙だけ書籍っぽくデザインされているものの中身は段ボール製の空洞の装飾目的の「ダミー本」を3万冊以上・百数十万円分を大量に購入する事例もあった。

 蔵書の分類方法も、図書館での蔵書分類の標準方式となっている日本十進分類法(NDC)に沿っていない独自方式を導入している。書籍のタイトルだけをコンピュータープログラムで割り振ってチェックを入れていないのか、まともな知識を持っていたらすぐに気づくはずなのに、川端康成『伊豆の踊子』・三島由紀夫『金閣寺』などが「旅行本」の棚に振り分けられるなど、おかしな場所に蔵書が配架される事例が多発したこともあった。笑い話を通り越して、何が起きているのかすぐには理解しがたいほどである。

 さらには、図書館に商業施設が併設されていることで、学校側が商業施設と見なし「学校の帰りに寄り道しないように」と指導する珍事も起きた。

 愛知県小牧市では、市立図書館リニューアルの際にCCCを指定管理者に内定して「ツタヤ図書館」にする計画を立てたが、反対の住民運動が起こり、住民投票が実施されて「ツタヤ図書館」への反対が上回ったこともあり、計画が白紙化されている。

 指定管理者として委託された各地域で、図書館の公共的な役割よりも商業的な運営一辺倒で様々な問題を起こしてきた事業者に、そのまま委託してもよいのだろうか。