大阪市中学校給食の経過と雑感

 産経新聞(ウェブ版)2015年1月7日付『「給食ふりかけ論争」決着…解禁へ異例の通知 大阪市教委』の記事によると、大阪市の中学校給食が冷たい弁当形式で不評なことに関連して、「大阪市教委は将来的には温かい給食を提供したいとし、来年度に調理室のある小学校で作った給食を近くの中学校に配送する「親子方式」のモデル実施を目指す」と記載がある。

 しかしこれまでの大阪市の経過から見ると、これを額面通り受け取って良いのか疑問である。その場限りの言い逃れ的な説明のような気がしてならない。

 大阪市ではかつて、一部の中学校で自校調理方式の中学校給食を実施していた。しかしそれは、不公正・乱脈な同和行政の一環として「同和教育推進校」だけで実施されていた。「同和校」ではない中学校の保護者から中学校給食の実施を求める請願が繰り返し出されたものの、会派として当時から中学校給食実施を掲げていた共産党は賛成したものの、多数の会派が反対し、実現しなかった経緯がある。

 一部の運動団体の利権や逆差別の温床となるような不公正な同和行政への批判が高まり、同和問題の見直しの一環として、大阪市では2008年3月に一度中学校給食が全廃された。同和行政・同和教育との絡みで中学校給食も逆差別的になっていた側面は確かにあるものの、これは教育条件の整備という視点から、他の中学校にも中学校給食を拡充することで逆差別を克服していくべきものではなかったのだろうか。

 一度中学校給食を全廃した後、当時の平松邦夫大阪市長が、周囲の諸条件から十分とはいえなかったものの、2012年4月からの弁当方式・選択制での中学校給食実施に道筋をつけた。

 選択制給食実施が決定した直後の2011年12月に橋下徹大阪市長が就任したが、導入した中学校給食には利用率低迷の大きな課題が指摘された。橋下徹市長は「平松前市長は何もしなかった。自分が給食を導入した」と宣伝するためか、指摘された課題には目をふさぎ、根性論や小手先の施策にすり替え、全員給食に切り替えて利用率低迷を「克服」しようとしたが、中学校給食に対する苦情はさらに大きくなるという悪循環になっている。

 自校方式での温かい給食を導入したいというなら、橋下市政になってからも、その機会はいくらでもあったのではないのだろうか。

 2015年度より「親子方式」モデル実施ともったいぶったことを言っているが、これは小中学校統廃合による小中一貫校設置に伴うものである。モデル実施というのなら、この小中一貫校1校だけではなく、他のところでも施行できないのか。かつて自校調理での中学校給食を実施していた学校では、かつての給食室の整備で自校調理を復活させることは、一から設備を新設するよりも容易なのではないか。