丸子実業高校いじめ自殺事件を「でっちあげ」と攻撃するライター

 2005年12月に発生した長野県丸子実業高校でのいじめ自殺事件について、「いじめはモンスターマザーのでっちあげ」と主張し、被害者遺族を攻撃するとみられる文章が、近く某雑誌に掲載されるという宣伝広告があった。

 筆者をみると、福田ますみなるライターになっていた。2003年に発生した福岡市立小学校教諭・林田真二が担任クラスの児童に人種差別的ないじめを執拗に繰り返した事件で、「いじめは被害者とされる児童と保護者のでっちあげ」などとそれこそでっちあげの内容で繰り返し攻撃する文章を書いた前歴がある人物である。

 文章そのものは当方ではまだ入手していないものの、広告の内容、また筆者名をみるだけで、被害者遺族を攻撃し悪質な中傷を加えるものであろうことは容易に予想がつく。

 問題となっている丸子実業高校のいじめ自殺事件は、「でっちあげ」とはとうてい言えない内容である。新聞記事などで確認される事実関係をまとめておきたい。


 自殺した生徒は2005年4月に長野県丸子実業高校(現・丸子修学館高校)に入学し、バレーボール部に入部した。喉の障害で声がうまく出ないことなどで、バレーボール部の上級生から、声を真似てからかわれる・殴られるなどのいじめを受けるようになり、抑うつ状態を発症した。

 生徒の母親が学校側にいじめを訴え、生徒本人もいじめを訴えていたが、学校側は対処しなかった。バレーボール部顧問教諭は「ふざけるなバカヤロー」などと、生徒の母親を恫喝したことも指摘されている。

 2005年12月6日、生徒はいじめを苦にしていると受け取れる遺書を残して自殺した。

 バレーボール部の保護者会は当初は「いじめられた側がそう思うのであれば認めなければならない」とは言及したものの、「自殺は(異常な母親の存在による)家庭の問題が原因」「いじめはなかった。母親のでっちあげ」などと主張し、自殺した生徒の母親への中傷を繰り返した。

 自殺した生徒の自宅には、生徒の母親宛に「(生徒は)自殺して救われた。大げさに騒ぐのはやめなさい」などと中傷した、匿名の手紙が届いたという。

 いじめに関与した上級生については、自殺した生徒が生前に出した被害届を元に警察が捜査し、暴行容疑で書類送検され家裁送致処分を受けた。本人もハンガーで頭を殴ったことなどは事実を認めている。

 自殺した生徒の母親は2006年4月、いじめ加害生徒らを民事提訴。しかし2006年10月、いじめに関与したとされる生徒を含めたバレーボール部員・保護者や顧問教諭が連名で、「母親がいじめをでっちあげたせいで部活動に支障が出たことや、いじめの犯人呼ばわりされたことなど、精神的苦痛を受けた」と主張し、生徒の母親を相手取って逆提訴した。

 長野地裁は2009年3月、自殺した生徒の頭を殴った上級生に対し1万円の損害賠償を命じたものの、逆提訴側の主張を受け入れて母親に計34万円の賠償金を支払うよう命じる、前代未聞の不当判決。母親は東京高裁に控訴したが、精神状態が悪化して裁判に耐えられない状態になったとみられ、後に控訴を取り下げた。

(参考)事件の経過がまとまっているサイト