道徳教育について考える集会が開催される

 個人加盟による全国組織「男女平等を進める教育全国ネットワーク」がこのほど、東京都内で秋の学習交流集会を開催した。道徳教育が主なテーマとなったという。

 講演では、前日本家庭科教育学会会長の鶴田敦子氏が、文部科学省が「新しい教科」としてすすめようとしている道徳教育の問題点を分析する講演をおこなった。

 講演では道徳教育について、(1)個人の自主性に基づき、個人の判断として選ぶ。(2)子どもの良心に自由を尊重しながら「実生活」に即し、科学的知識を踏まえて総合的な道徳判断力を身につける。(3)取り上げる内容は伝統的な価値だけでなく、憲法の基本的人権に足場を置く価値を据える。――事が重要だと指摘した上で、文科省作成の副教材『私たちの道徳』の内容を分析した。

 『私たちの道徳』では、小学校(低学年・中学年・高学年用)・中学生用の4冊とも「朝ごはんをしっかり食べる」とする記述があることを取り上げている。これについては「生活の仕方の指示」であり、なぜ朝ごはんを食べることが良いのか子ども自身が考え判断できる構成にはなっていないと指摘している。

 家庭科教育では「なぜ朝ごはんが必要か」「なぜバランスのとれた栄養が必要か」ということを学んだ上で、子どもたちが学習内容を踏まえた上で朝ごはんをしっかり食べると判断する授業が成り立っていることと対比させ、「決まりだから守れでは押し付けになるし、決まりや法が全て『いいもの』という前提で書かれているのも問題。決まりを自分たちで作る視点も必要」と指摘した。

 この指摘は重要である。文科省がすすめる道徳教育では、子どもたちが自主的に判断する力を育成するのではなく、とにかく上からの指示は守れというような、きわめてゆがんだものとなっている。しかも、教師・指導者が評価して成績もつけるとなると、特定の方向での価値観が唯一の正解とされて押し付けられることにもなっていく。道徳教育には教科書が使用され、教科書検定をおこなうのは政府であることから、政府にとって都合がいい価値観が押し付けられる危険性も高くなるといえる。

 道徳教育では特定の価値を押し付けるのではなく、外部の客観的事象や科学的知見を踏まえながら、子どもたちが内面の価値観を自主的に育てられるような事が必要であろう。

(参考)
◎道徳教育 どう向き合う 価値押し付ける「教科化」 「なぜ」考えさせてこそ(しんぶん赤旗 2014/11/11)

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