「教育バウチャー制度」導入提言合意:教育再生会議

 政府の教育再生会議は11月1日、「教育バウチャー制度」導入を提言することを大筋で合意したということです。

 「教育バウチャー制度」なるものは、児童・生徒に自由な学校選択をさせて学校間の競争を促し、学校間の予算格差付けを柱としたものだということです。この制度は、安倍晋三前首相が推進する政策でした。福田康夫首相に交代して保留されるという見方もありましたが、結局構想が復活した様子です。
 こんな制度は教育再生どころか、逆に教育破壊につながります。決して導入するべきではありません。
 そもそも行政としては、「能力に応じて等しく(日本国憲法)」の理念のもと、どの地域や学校でも、一人一人の児童・生徒の教育を保障する義務があります。地域の特性や児童・生徒・教職員の個性などによる特色は当然出るでしょうが、どこの学校に進んでも必要な教育が受けられるようにしなければなりません。
 しかし「競争」によって学校に差を付けることは、教育条件の保障には真っ向から対立するものであり、有害きわまりないものです。
 「競争」による学校間格差付けが何を意味するのか、結局は「学力テストの成績」「受験難関校といわれている上級学校への進学者数・進学率」「クラブ活動の大会などでの成績」など「数字」(これらの数字の根拠も、強い根拠があるように見えて実はあやふやなものですが)を至上命題にするといった、数字そのものを追い求めて一人一人の児童・生徒の発達や個性伸張を後回しにするような結果にしかつながりません。
 実際に一部の地域でおこなわれている、地域の統一学力テストや学校選択制度では、競争による学校間格差付けを図った結果、すべての学校で教育条件が悪化しています。
 入学希望者の集まる人気校では教育条件が向上しているのでしょうか。実際は全く逆で、大人数による教室の不足など教育条件の悪化が発生しています。また不人気校とされた学校では、不本意入学による生徒の無気力化・人数が少なすぎることによる教育活動への支障なども発生しています。また学力テストでの不正や事前対策などが典型的ですが、競争で上位に位置しようとすることに起因するゆがみも生まれています。
 このような前例があるだけに、「教育バウチャー制度」はすべての学校の教育条件を悪化させ、学校制度そのものの疲弊と荒廃を招くだけの結果しかもたらさないことは、論じるまでもなく容易に予測できます。

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