北星学園大学脅迫問題:当該講師との契約打ち切り検討を学長認める

 現役記者時代に「従軍慰安婦」報道に関わった経歴を持つ元朝日新聞記者が非常勤講師として在籍していることを理由に大学への脅迫が相次いでいる北星学園大学(北海道札幌市)について、同大学の田村信一学長は10月31日に記者会見し、脅迫事件を理由に当該の非常勤講師との契約を今年度限りで打ち切る方向で検討に入っていることを明らかにした。

 記者会見に先立って一部の報道では、大学関係者の証言として、学長が学内の会議でこの意向を表明したとされてきた。学長も報道を大筋で認めた形になる。

 学長は契約打ち切りの理由について、先行報道で指摘されたのとほぼ同趣旨の、脅迫事件への対応で増やした職員や警備員の人件費がかかることや、学生の安全を確保するために事態を収束させることを理由にあげた。

 一方で学長は「雇用契約中は当該講師を守った。脅迫に屈したのではない」と述べ、脅迫に屈したのではないかという指摘を否定した。

 なお、同日10月31日には、朝日新聞や当該講師を直接名指しする記述はないものの、「『言論の自由』と称する偏し方を子供に指導させて下さい」などと一連の脅迫を念頭に置いていると思われる記述のある手紙が、大学に届いたという。この不審な記述の手紙には、成分不明の白い粉も同封されていて、警察が威力業務妨害容疑で捜査しているという。

 この手の脅迫に対しては、毅然と対応しなければ、相手側からつけ込まれて事態を悪化させる可能性が高い。企業などでもこの手のクレーマー対応で失敗する例もよく聞く。

 この問題は大学の自治、学問の自由に関わる問題である。また同時に、個別の大学に向けられた問題にとどまらず、言論の自由という観点からは社会全体に向けられたものでもある。意に沿わない組織や人物を脅して黙らせて言いなりにさせるというようなことは、民主主義や言論の観点からは重大な問題である。

 学生の安全確保は、脅迫に屈しない取り組みと一体のものではないだろうか。脅迫に屈して不当要求を受け入れれば、相手側はエスカレートして、気に入らない研究や授業には片っ端から難癖をつけるようなことがまかり通り、結果的に学生を危険にさらしたり不利益を与えることにもつながりかねない。

 学長の意向は現時点では最終判断ではなく、学内の各種会議で調整して11月中にも最終結論を出すとしている。大学関係者の意見も十分聞きながら、適切な判断を願いたい。

(参考)
◎北星学園大:また脅迫文か 白い粉も同封(毎日新聞 2014/10/31)