図書館無人化実証実験計画は疑問

 神奈川県秦野市の図書館で、職員を配置せずに入退室や図書貸出・返却をICタグによって行う「図書無人貸し出しサービス」の実証実験が計画されているという。

 『朝日新聞』(ウェブ版)2014年8月24日付記事『無人図書館、実験へ 司書おかずICタグで管理 神奈川』によると、利用者カードの蔵書にICタグを使い、入退室を入口の自動ゲートで管理し、また貸出・返却の手続きは利用者がセルフでおこなうという。

 司書などの職員は常駐せず、必要な場合はインターホンで同じ建物内にある公民館事務所を呼び出すとしている。

 無人化推進の背景には、人件費の圧縮など運営コスト削減、サービス多様化などがあるという。

 これは、図書館の意義、および司書の役割をあまりにも低くとらえているのではないかという印象を受ける。

 知の集積の場であり社会教育施設の図書館では、蔵書の収集や整理・管理、利用者が目的の書籍・資料を探す際の相談業務(レファレンス)などの業務が含まれている。これらはマニュアルでも用意しておけば誰でも漠然とおこなえるようなものではない。専門的な知識が必要な業務である。

 「図書館はレンタルショップと同等」「図書館の業務は、カウンターに適当な人を座らせての貸出・返却のチェックだけだから、無人化してもいい」とでも考えているのなら、大きな間違いである。

 図書館無人化でどのような弊害が予想されるか。返却や館内閲覧された蔵書が乱雑に放置され、目当ての本が見つからないということも考えられる。レファレンス業務が不可能になることから、利用者にとっても相談したいときに不便になる。また人の目が届かないことでの蔵書盗難や館内環境の悪化などもありうる。非常時の対応にも影響を与えかねない。

 これらのことまで視野に入れての無人化検討なのだろうか。