小中一貫校に批判的な研究者の見解

 教育再生実行会議が小中一貫校の制度化を提言したことについて、『しんぶん赤旗』2014年7月18日付が、教育学者の佐貫浩法政大学教授にインタビューをおこなっている。

 佐貫氏は、東京都品川区で全面実施されている小中一貫校の研究をおこなっている。この観点から、小中一貫校については否定的・批判的な見解となっている。

 インタビューによると、以下のことが指摘されている(記事を要約)。

  • 中学校に進学した生徒が学校になじめなくて不登校やいじめが増加する「中一ギャップ」の原因は、中学校の競争主義的・管理的な体質で、子どもに高いストレスがかかっていることにある。小中一貫校では、いじめや不登校が小学校段階に拡大するおそれ。
  • 小中一貫校という制度が固有に学力を高めているという証拠はどこにもない。
  • 学校統廃合が第一のねらい。品川区では一貫校を口実に大幅な統廃合がおこなわれ、1000人規模の過密校も生まれている。自治体全体での教職員の人員削減や学校設備の縮小などにもつながる。
  • 品川区では小中の教員や子どもの交流など新しい仕事が提起され、教員の多忙化が深刻化している。蓄積してきた教育実践や教員の共同が失われ、スキルや専門性が奪われている。
  • 現行の学校制度を複線化することは、競争的・格差的な学校制度体系となる。

 そのうえで、「今回の提言は、そのため、制度を多様化して、ひとにぎりのエリートを作るために、教育学的根拠の曖昧な乱暴な「実験」を自治体に無秩序にやらせようというもので、競争と学校の格差がさらに拡大されて公教育に混乱を持ち込むものです」とまとめている。

 小中一貫校は肯定的な文脈で語られることもあるが、このようなデメリットもあり、問題点を解決しないままに突き進むことは禍根を残すことになる。

 とりわけ、学校制度の複線化と「エリート校」作りによって義務教育がゆがめられ、学校格差や競争が生まれることは極めて危険である。慎重な対応をしていかなければならない。