小学校高学年で「相互乗り入れ型学級担任制」導入:群馬・沼田市

 群馬県沼田市は市内の全小学校で4月から、5・6年生を対象に教科担任制と学級副担任制を組み合わせた独特の制度・「相互乗り入れ型学級担任制」を導入することを決めました。


 小学校高学年では、音楽など一部教科で専科教員や教科担当が置かれることもありますが、基本的には担任教諭がほとんどの教科を担当することが多いようです。また同じ群馬県の前橋市では、小学校高学年の主要4教科について教科担任制を導入する方針を発表しています。
 沼田市の取り組みは、5・6年生の担任教諭が自分の専門教科や得意教科を他クラスで教えながら、自分の担任学級と授業担当クラスの副担任を兼任するシステムだということです。教科担任だけにとどまらず学級副担任を兼任するシステムは、おそらく全国初ではないかとみられています。
 教員が専門教科や得意教科を教える教科担任制の導入は、授業に深みや奥行きがでることも期待できます。それに伴って、児童の知的好奇心をより引き出しやすくなって学習意欲が向上することが期待できます。
 また生徒指導の視点からみても、複数の教員の目が届くことで児童をより多面的に理解できることが期待できます。担任教諭と合わなかったことで問題が発生する(もちろん通常のまじめな教員は、そうならないように細心の注意を払っていますが)などということも場合によってはありえるので、そういったことをより避けやすくなる効果も期待できるでしょう。授業担当だけでなく副担任と位置づけることで、生徒指導面からもより大きな効果が期待できます。
 課題としては、沼田市教育委員会も認めていますが、教員の負担が増えるという点があります。確かに現状の教員配置のまま導入しても、ただでさえ過重負担がいわれている教員に対してより強い負担を強いるという危険性はあります。教科の教材研究や児童に向き合う時間を十分に確保できるように、行政としては教員の適正配置などを含めた支援策をとることが求められるといえます。

沼田市教委:担任を相互乗り入れ 得意教科生かし、教員同士が連携・協力 /群馬〔『毎日新聞』2007/3/5〕
 ◇来月から、全小学校の5・6年生クラス対象に--いじめ・不登校対策も
 沼田市教育委員会は4月から、市内の全13小学校の5、6年生のクラスを対象に担任の相互乗り入れ制を導入する。教員がクラスの垣根を乗り越えて、相互に得意教科を担当する制度で、児童が複数の教員と接するため学習面だけでなく、いじめ対策にもつながるとしている。同市教委は「独自の施策で全国初の試み」と意気込む。
 新制度の名称は「相互乗り入れ型学級担任制」。具体的には6年1組の担任Aが得意の社会や音楽を2組でも教え、2組の担任Bが逆に1組の理科と図工を受け持つという仕組み。この関係でAは2組の、Bは1組の副担任になる。ここに5年1組の担任Cが6年1、2組の体育を担当する乗り入れもできるという。
 目的は(1)教員の得意教科を生かすことで学習指導が充実する(2)複数の教員による児童の多面的把握が可能になる(3)中学校の教科担任制へスムーズに移行できる――などとしている。
 また、類型は同学年担任間の相互乗り入れ▽5、6年の担任間の相互乗り入れ▽同学年または5、6年の教員の一方乗り入れ――などがある。
 新制度は一方で担任と副担任の緊密な連携・協力を求め、いじめや不登校などの問題解決に向けた支援グループを組織するよう提案している。運用は各校の自主性に委ねるが、校長が目的達成のための創意工夫、対象学年、方法などを盛り込んだ実施計画書を提出する。
 同市の津久井勲教育長は「新制度は全くオリジナルで全国初。教員は多少仕事が増えるが、子供たちは複数の先生から勉強を学べるので喜びがあるのではないか」と話している。【松本時夫】