学力テスト成績公表の負の側面

 産経新聞(ウェブ版)2014年1月12日付に『ネットで中傷「バカだとわかった」消せず、自治体お手上げ…“政治”が推す学テ成績「公表」負の側面も生々しく』が掲載されている。

 大阪市教育委員会が各学校に対し、全国学力テストの学校別成績公表を義務づけたことについて記事にしている。

 成績公表については保護者からの歓迎の声も紹介している一方、「おもしろ半分にインターネット上で順位付けされてしまうのではないか」とする保護者の声も紹介している。

 1960年代の全国学力テストでは、学力の低い児童・生徒を試験当日に欠席させるなどの問題が表面化して数年で中止になった。その約40年後に現行の全国学力テストが導入された。元々は競争と序列化が目的で導入されたが、批判にさらされて「都道府県別以下の成績は公表しない」という形になった。一方で公表派の策動が続き、各学校別の成績を公表する自治体も現れている。

 一方で全国学力テストにしても、各地域で独自に実施している統一学力テストにしても、学校別成績を公表した地域では面白半分に学校が格付けされ、好ましくない事例が出ている。

 産経新聞では、大阪府泉佐野市の例が紹介されている。

大阪府泉佐野市が一昨年10月、府独自の学力テストの学校別成績を市のホームページに掲載したところ、ネット掲示板に成績の低い学校について「ばかだと分かった」などと書き込まれた。中傷は現在もネット上に浮遊し、市担当者は「正直、防ぎようがない」と漏らす。
(産経新聞2014年1月12日『ネットで中傷「バカだとわかった」消せず、自治体お手上げ…“政治”が推す学テ成績「公表」負の側面も生々しく』)

 泉佐野市では、大阪維新の会系の千代松大耕市長の主導で、大阪府の共通学力テストの学校別成績を2012年10月に公表している(参考:当ブログ2012年10月2日『学力テスト学校別成績市長判断で公表:大阪・泉佐野市』)。その結果がこれである。

 泉佐野市が「特別な地域」というわけではない。他地域でもこういうことが発生している。2006年6月3日の衆議院教育基本法に関する特別委員会で笠井亮衆議院議員(日本共産党)が、当時すでに統一学力テストの学校別成績を公表していた東京都の例をあげ、「子どもがクラブ活動の大会に行ったら、他校の生徒から『一番バカな学校』と言われた」とする話を紹介している。

 学校別成績を公表する限り、点数がひとり歩きして、こういう格付けや、成績下位の学校への中傷・蔑視は必然的に起きる。こういう中傷を防ぐためには、最初から公表しないようにするしかない。

 産経新聞は全国学力テストについては、学校別競争や順位付けも歓迎かのような論調で記事を書いていた。この記事はこれまでの論調とはやや異なり、成績公表による否定的な側面にもかなりのウェイトを割いた記事にになっている。負の側面が賛成派にとっても無視できないものになっているのであろうか。