大阪市「体罰」隠蔽疑惑浮上

 大阪市が弁護士に委嘱した市外部監察チームが市立学校で発生した教師の暴力行為(いわゆる「体罰」)に関する事案をまとめた際、一部の学校が事案を隠蔽した疑いがあることが浮上した。


 少なくとも5校について「軽微だったと判断した」「指導の一環であり体罰ではない」などとして故意に報告しなかったり、調査せずに放置していた疑いなどが浮上している。

 チームが作った報告書によると、ある中学のハンドボール部顧問が昨年4月以降に生徒を平手でたたいたり、ボールをぶつけたりしていた。顧問も「女子生徒数人や3年男子全員をたたいた」と認め、被害をうかがわせる生徒のアンケートも存在した。だが、校長は「指導の一環であり体罰ではない」として市教委に一切報告書を出していなかった。
(朝日新聞2014年1月5日『体罰隠蔽、横行か 大阪市への学校報告 外部調査で指摘』)

 明らかな暴行であり「体罰」であるにもかかわらず、指導の一環であり「体罰」ではないと言い立てて、大したことでもないのに騒ぐのが悪いかのようにねじ曲げて「一部の生徒・保護者の私的感情だけで教師は陥れられ、教育委員会やマスコミもそれに加勢した。教師こそが被害者」と悲劇の主人公のように装うのは、「体罰」を肯定する者の常套手段である。
 当事者にとっては何が問題かすらもわかっていないのだろう。しかし、だからといってそんな行為を正当化できるはずもない。こういうことを放置すれば、加害者教師本人や周辺の「信者」から、被害者やその関係者への常軌を逸した攻撃が始まり、二次被害が出ることになる。
 橋下徹大阪市長はこの問題発覚を受け、「体罰」隠蔽が確認された場合には市教委人事を刷新するなどとするメールを、市教委幹部ら関係先に送っていたことも明らかになった。
 しかし橋下氏はもともと、「子どもが走り回って授業にならないのに、注意すれば保護者が怒鳴り込み、頭を小突くと体罰だと騒ぐ。こんなことでは先生が教育をできない」「言っても聞かない子には手が出ても仕方がない」(2008年10月26日、大阪府知事時代に出席した討論会)と発言し、「体罰」を推進してきた経緯がある。
 2012年12月に発生し、年が明けてすぐの2013年1月に事実関係が公表された大阪市立桜宮高校「体罰」自殺事件では、世論を利用する形で「体罰」批判のポーズをとったものの、実際には「学校現場で(児童・生徒が)他人に迷惑をかけるとか、危害を加えるといったときには、もしかすると、先生が手をあげることも認めなければいけない場合があるかもしれない」(2013年1月14日、大阪市内の成人式会場)と発言し、「体罰」を容認する姿勢は変えていない。
 また橋下氏はこれとは別に、かねてから教育委員会部局への首長の行政介入を狙っている。「体罰」問題をまじめに解決する気などはなく、単に教育委員会への介入・首長権限の強化にとって都合が良さそうと判断したから利用しているだけなのであろう。こういう態度では、「より巧妙に隠蔽をおこなう」という方向で悪くなることはあっても、良くなることはないだろう。
(参考)
◎体罰隠蔽、横行か 大阪市への学校報告 外部調査で指摘(朝日新聞 2014/1/5)
◎体罰隠蔽なら「市教委人事を刷新」 橋下市長がメールで“通告”(産経新聞 2014/1/7)