教科書検定基準改定:琉球新報が批判社説

 文部科学省が教科書検定基準を改定する方針を出したことについて、琉球新報が2013年12月24日付の社説『検定基準改定 国家至上主義の教育やめよ』で批判的な見解を出している。

 同社説では、政府与党の自民党が近隣諸国事項の見直しを掲げていることあげ、「アジア諸国に配慮した記述のある教科書を「自虐史観」と決め付けて検定で閉め出す動きが今後強まる可能性がある」と指摘している。また改悪教育基本法の方針に沿った愛国心教育についても、「教科書検定の権限を使って、国家至上主義的な教育へと一定の方向に導くような手法は大いに疑問だ」と指摘した。
 その指摘は決して杞憂ではない。近年は一部の極右教科書を支持する勢力が、政治的な手法も使いながら、他社教科書をやり玉に挙げて「自虐史観」と攻撃するなどの事例も相次いでいる。
 琉球新報の社説では、沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)記述が2007年の教科書検定(2008年度使用の高校教科書)によって「日本軍による強要」という記述を消されて大きく後退する形で書き換えを強いられた問題と、大江健三郎氏の著作『沖縄ノート』(岩波文庫)の沖縄戦記述を「名誉毀損」と主張した「岩波・大江裁判」についても述べられている。「岩波・大江裁判」は直接的には教科書問題ではなく名誉毀損の問題として主張されていたが、原告側は沖縄戦の教科書記述を変えるため、沖縄戦の教科書検定問題とリンクする形で訴訟を進めていたことをほのめかしていた、

 沖縄戦の住民の「集団自決」(強制集団死)が軍の強制・誘導などに起因することは沖縄戦研究の定説で、最高裁判決も認めた。沖縄戦に関する記述が削除されたり、不合格にされたりする事態は断じてあってはならない。

 史実を「自虐史観」と攻撃する勢力は、気にいらない定説があれば、自分たちの説は誤り・もしくは政治的意図ありきで大きく歪められているにも関わらず、自分たちの学説があたかも定説や真実のように扱おうとする。沖縄戦のほかにも、この手の攻撃が加えられたテーマは少なくない。
 教科書検定記述の改定で、沖縄戦の記述の問題のようなことが相次ぐのではないかとも危惧されてる。