教諭の不適切事情聴取で精神障害発症認定:佐賀地裁

 佐賀県唐津市立中学校で2007年、当時3年だった女性が「同級生へのいじめに関与した」と決めつけられて教師から長時間の脅迫的な事情聴取を受けて自白を強要されたことが原因で解離性障害を発症したとして、被害女性が唐津市を相手取って約6200万円の損害賠償を求めた訴訟で、佐賀地裁は12月13日、教師の行為と原告の症状発症の因果関係を認定し、市に約1770万円の損害賠償を命じる判決を出した。

 事件は2007年5月、この学校で別の生徒の上履きが刃物で傷つけられる事件が発生したことに始まる。原告女性のしわざと決めつけた担任と学年主任の教師2人が、2日間・計5時間半にわたって事情聴取をおこなった。
 その際に教師は「認めなければ警察に指紋を採取してもらう」「お前が認めるまで事情聴取が続く」などと恫喝して自白を迫った。原告女性は事件には全く関与していないのに、無理やり認めさせられるような形になった。原告女性はその直後に不登校になり、精神的な変調も発症して解離性障害と診断された。
 判決では教諭の行為について、「恐怖心をあおって認めさせようとした」「社会通念上相当と認められる範囲を明らかに逸脱している」指摘し、不適切と判断した。そのうえで、聴取直後から原告に別人格が現れるなど解離性障害の症状が出たことや、原告が教師から殺される夢を見続けたことなどをあげ、教諭の行為と原告の精神症状発症には因果関係があると判断した。
 唐津市は「教師の聴取は合理的だった」「診断が出たのは聴取から1年以上たってからなので、聴取と症状発症に因果関係があるとは考えにくい」として争っていた。唐津市は弁護士と相談の上、教育委員会会議にも諮って、控訴するかどうかの判断をしたいとしている。
 原告側の訴えが認められたことは当然といえば当然だろうが、ここまで至るまでには長い時間を要したことになる。原告女性や関係者の方の気持ちを考えると、唐津市はこれ以上争うべきではない。
(参考)
◎いじめ聴取で「解離性障害」=唐津市に1700万円賠償命令-佐賀地裁(時事通信 2013/12/13)
◎解離性障害:元生徒勝訴 唐津市に賠償命令 佐賀地裁(毎日新聞 2013/12/13)
◎「警察呼び指紋採る」教諭の執拗聴取で精神疾患(読売新聞 2013/12/14)