八重山教科書問題:石垣市に東京書籍版採択求めた訴訟棄却

 沖縄県石垣市の中学生と保護者が、中学校社会科公民的分野(3年生向け)の教科書について、石垣市が採択した右派系の育鵬社版ではなく東京書籍版の無償給与を求めた訴訟で、那覇地裁は12月10日、原告側の請求を棄却した。

 沖縄県では石垣市・竹富町・与那国町の3自治体で八重山教科書採択地区を設置している。2011年度の教科書採択の際、採択協議会の委員長が、委員の差し替えなどルール破りすれすれの手法で強引に協議会を運営した末、育鵬社版を採択を答申した。育鵬社版は現場からの希望はなく、会議では採択対象にも上がっていなかったという。
 石垣市・与那国町は答申通り育鵬社版を採択した。しかし手続きの不当性を問題視した竹富町は、採択権限は教育委員会にあるとされていることを根拠に、現場の希望通り東京書籍版を採択した。
 採択地区内の自治体の教育委員会が改めて合議したところ、東京書籍版の教科書を採択すべきとした。しかし石垣市や与那国町は採択をやり直さずに育鵬社版のままとした。「同一採択地区では同一の教科書を使用」という別の規定があるのでねじれ状態となり、文部科学省は育鵬社版に一方的に加担して、竹富町への無償給与を認めないなどの状況が続いている。
 育鵬社を採択したままとなっている石垣市でも、東京書籍版を使用すべきとする市民からの不服があり、訴訟に至っている。しかし判決では、「多数決が石垣市教委を法的に拘束する根拠は見いだしがたい」として、東京書籍を採択すべきとした教育委員の合議に法的根拠はないと結論づけた。
 この間の経過を見れば、育鵬社を推す勢力が強引だからこそ、こんな混乱に至った形になった。混乱を収拾するために教育委員の合議を実施したはずが、効力が認められないとした判断は非常に残念だと言わざるをえない。
(参考)
那覇地裁、採択外無償供与認めず 八重山教科書問題(共同通信 2013/12/10)