文科省:学力テストの学校別成績公表認める

 文部科学省は11月29日、全国学力テストの学校別成績について、自治体が公表することを認める見解を出した。

これまでは「競争と序列化につながる」として、都道府県単位以下の公表は禁じていたが、方針を転換することになる。
 文部科学省は、「数値のみの公表はおこなわず、結果の分析や改善策なども合わせて示すこと」「公表の方法などは、事前に学校と相談する」「数値を一覧にしたり学校別順位を付ける形での公表はしない」とする条件をつけるとしている。
 しかしいくら条件をつけても、学校別の数値が公表される限り、数値だけがひとり歩きするのではないか。現に都道府県別の公表ですら、個別の問題に対する結果分析などは隅に追いやられ、「わが〇〇県は何位で、全国平均より上か下か」という数値ばかりがひとり歩きしている。
 県ないしは市区単位での地域の統一学力テストを実施しているところでも、学校別成績を公表したところでは数値の独り歩きが問題になっている。学校選択制を実施しているところでは、テスト成績も選択動向に影響を与える要因の一つともなっている。
 個別の児童・生徒の学力や、全体的な傾向を測るのには、学校別の成績公表が必要不可欠というわけではない。学校別成績を公表しても、点数という一つのものさしで学校間・地域間を格付けするだけになるのではないだろうか。

毎日新聞2013年11月30日付『社説:学力テスト成績 学校別の公表は無用だ』(一部抜粋)
 むしろ正答率などより、結果に見る学力傾向と今後の指導計画を保護者や地域に説いた方がずっと理にかなう。そこを主眼とすべきだ。
 また、傾向と課題を的確に掌握するには抽出調査で十分と専門家は指摘する。抽出なら学校間の成績競争はない。結果から子供たち全体の改善指導を工夫し、追跡調査で成果を検証していく。その方が、学校の成績順位よりはるかに重要だろう。
 教委は、最終決定権者であることで実施を押し通すのではなく、学校や父母とも十分に話し合い、現場の意見をくみとってほしい。

高知新聞2013年12月2日付社説『【学テ成績公表】学テ成績公表「学校別」が必要だろうか』(一部抜粋)
 学テの目的は、子どもがどこでつまずいたのかを教員が把握し、弱点克服に生かすためにある。
 学校別で公表されれば、他校と比べたくなる保護者も出るだろう。いけないことではないが、子ども個々の学力向上を図らねばならない教員へのプレッシャーとなる恐れがある。
 そもそも文科省の事前調査では、約8割の市町村教委が学校別公表に反対していた。「過度な競争」への懸念からで、当事者の思いに反してなぜ公表を認めるのだろう。
 学テの成績と世帯年収が相関関係にあるのは、文科省の調査で分かっている。学校別の公表が、地域や学校への無用な偏見につながっては元も子もない。既に多くの学校が、校長判断で成績を保護者や地域に開示している。あえて「学校別」公表に踏み切る必要はないはずだ。