東日本大震災幼稚園児死亡訴訟:津波予見可能性認め賠償命じる

 2011年3月11日の東日本大震災で私立日和幼稚園(宮城県石巻市、2013年3月休園)の送迎バスが津波に巻き込まれ、乗車していた園児5人が死亡したのは、園側が判断を誤って高台の幼稚園から海側にバスを走らせた安全配慮義務違反があるとして、5人のうち4人の遺族が園側に約2億6700万円の損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁は9月17日、遺族の訴えを認めて約1億7700万円の損害賠償を命じる判決を下した。


 震災犠牲者の遺族らが、犠牲者が被災当時にいた学校や勤務先などを相手取って、施設管理者の安全配慮義務違反を問う訴訟が少なくとも8件起きているが、初めての判決となるという。
 東日本大震災発生の午後2時46分当時、園児は園内にいたが、園側は園児を帰宅させる対応をとり、送迎バス2台で園児を送り届けようとした。
 津波に巻き込まれたバスは園児12人を乗せてまず海側に向かい、石巻市沿岸部で園児7人を降車させた。内陸側の地域在住の園児5人を乗せて内陸地域に急行しようとしたが、渋滞に巻き込まれて動けなくなり、午後3時45分頃に石巻市門脇町付近で津波に巻き込まれた。運転手は津波に巻き込まれたが九死に一生を得たという。津波後には火災も発生し、園児は3日後の14日朝に発見された。
 もう1台のバスは途中で園に引き返し、園児・乗員とも無事だった。
 園側は「1000年に一度の大災害。海岸から700メートル離れた場所での津波は予見できなかった」などと主張した。しかし判決では園側の主張を退け、3分にわたって続いた巨大地震の揺れを体感したことなどをあげ、当然予想される津波の情報収集義務を怠ってバスを出発させたことが被災を招いたと結論づけた。
 判決は妥当だと感じるが、失った命が帰ってくるわけではないという現実もある。せめて、この事故の教訓が防災の強化として活かされることを願うものである。

(参考)
◎「大津波予見できた」と賠償命令 仙台地裁、幼稚園児死亡訴訟(共同通信 2013/9/17)
◎石巻・日和幼稚園訴訟判決 園に1億7700万円賠償命令(河北新報 2013/9/17)
◎東日本大震災:日和幼稚園児津波被害訴訟 津波犠牲に賠償命令 「被害予見できた」 園側に1億7660万円――仙台地裁(毎日新聞 2013/9/17)
日和幼稚園送迎バスの悲劇・石巻市門脇町(『東日本大震災の記録 大津波の悲劇・惨劇の報道を追う』)