実教出版教科書採択、府教委指導に強制力:大阪府教育長

 中原徹大阪府教育長は、実教出版日本史教科書を採択希望した府立高校に対し府教委が指導することを条件に採択を認めたことについて、府教委の指導には強制力が伴なうという見解を示した。

 実教出版の教科書については、国旗国歌法の記述について「一部の自治体で強制の動きがある」という記述がある。この記述に対して、一部の教育委員会や右派議員が敵視し、採択させないように圧力をかける動きが、各地で広がった。

 大阪府では府教委が「記述は一面的」とする見解を各学校に対して出し、大阪維新の会大阪府議団が採択対象から除外するよう求める申し入れを繰り返しおこなった。

 また報道では国旗国歌法の記述へのクレームが中心となっているが、従軍慰安婦問題の記述についても右派には気に入らない記述になって問題視したという情報もある。

 大阪府では「学校の自主性を尊重する」「政治介入の疑義が生じる」として採択そのものは認める意見が複数の教育委員会から出された。しかし中原徹教育長の意向で、「採択する学校には府教委が指導をおこなう」とする条件が付けられ、条件付きの採択となった。

 中原教育長はもともと橋下徹大阪維新の会代表(大阪市長)の友人である。元々は弁護士だったが、橋下氏が大阪府知事時代に、橋下氏とのつながりで民間人校長に採用された。府立和泉高校の校長として着任したが、卒業式で教職員が君が代を斉唱しているかどうか口元を監視していたことが明らかになっている。和泉高校校長退任後に府教育長に就任した。

 教育基本条例などで教育行政を統制しようという橋下・維新の直系の人脈でもあり、また君が代口元チェックは教育者としても問題があるし、さらに弁護士出身とも思えない暴挙でもあった。そういう人物だから、強制を伴なうことも意に介さないという見解になるのだろう。

 しかし府教委の指導に強制力が伴う事自体がおかしい。問題の記述は当初はもっとゆるやかな表現だったが、文部科学省から「曖昧」と検定意見がついてより踏み込んだ表現へと変更された経緯がある。文部科学省公認の記述と言ってもいいものを、教育委員会が敵視して難癖をつけるのがおかしい。