教員免許更新制導入への疑念

 教員免許更新制に向けた動きが強まっているようです。
 政府の教育再生会議では12月4日までに、中教審答申よりも厳しい基準の「5年更新、新規採用教員の試用期間は3年」という方向性での検討を始めたということです。また安倍晋三首相も12月13日の衆議院教育基本法特別委員会で「(教員の中に)不適格であるという方々がいるのも事実。採用する際には資質が十分に分からなかったという例もある」と答弁し、教員免許更新制導入を明言したということです。

 確かに、「(教員の中に)不適格であるという方々がいるのも事実。採用する際には資質が十分に分からなかったという例もある」という安倍首相の答弁は、その言葉だけとれば否定はしません。ただ、教育の現実をめぐる諸条件を無視して短絡的に教員免許更新制導入につなげるのは危険です。
 というのは、教員の採用や人事をめぐって、個々の教員の資質を判断する管理職や教育委員会そのものが、一般市民の立場からみれば「資質がない」と判断できるというケースも多々あります。
 ひとつの例として、管理職からのパワハラや、新任教員に十分な指導・教育がされないことなどで、教員がつぶされて不適格のレッテルを貼られる例も発生しています。管理職からのパワハラが原因で、自殺や精神疾患に追い込まれる例も起きています。
 また、福岡県筑前町立三輪中学校いじめ自殺事件、北海道滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件、長野県丸子実業高校いじめ自殺事件などが典型例ですが、校長が先頭に立って事件正当化や被害者への中傷による二次被害を与えるなどという例もあります。
 そんな「不適格教員」の管理職やそれを管轄する教育委員会が個々の教員を評価するのですから、そういうのが幅をきかせている場合は、管理職や教育委員会にとって都合のいい、すなわち一般市民にとっては迷惑きわまりない者が、中心的な教師としてのうのうと生き残ることは目に見えています。
 そんな中で教員免許更新制を導入しても、「不適格教員の排除」どころか、「不適格教員の増長とまともな教員の排除」になることは明らかだと言えます。
 不適格教員の排除は、教員免許の更新制では不可能です。そもそも不適格教員を生まないようなシステムを作ることが重要だし、仮に不適格教員が発生しても現行法で十分に対応は可能です。