文科相『はだしのゲン』閉架に「問題なし」見解

 下村博文文部科学相は8月21日の閣議後記者会見で、島根県松江市教育委員会が学校図書室の『はだしのゲン』を閉架措置にしたことについて、「子どもの発達段階に応じだ教育的配慮は必要。法的にも問題はない」とする見解を示した。


 下村氏は「私も指摘されている所を確認したが、果たして小中学生が正しく理解できるのか、必ずしも教育上、好ましくないのでは、と考える人が出てくるのはありうる話」「学校図書館以外で、読みたい人が読める環境が社会全体で担保されていれば良いのでは」などと話したという。
 一般的な話題に矮小化して、措置を正当化していると感じる。
 『はだしのゲン』を問題視している勢力は、「残虐な描写」を口実に、日本軍の加害行為の描写を敵視して「反日」だの「左翼」だのと攻撃していることが、各方面から指摘されている。実際に松江市でも問題のきっかけは、在特会とつながりのある人物が、歴史認識の問題と絡めて『はだしのゲン』の学校図書室からの撤去を求めた陳情を出したことであった。
 一連の動きは右派によるイデオロギー的な思想統制や弾圧を図ったものである。「発達段階に応じた教育的配慮」という一般論に矮小化できるものではない。
 もっとも安倍内閣での「教育改革」は、極めて右派的・反動的な傾向が際立っていることが指摘されている。また下村氏は安倍「教育改革」を中心的に主張してきた側近の一人でもあり、歴史教科書問題でも彼らの言うところの「自虐史観」なるものを攻撃してきた中心人物でもある。
 そういう背景があるから、『はだしのゲン』閉架問題についても全く批判できず、表向きは一般論にすり替えてお茶を濁しながら、実際は松江市教委の対応を支持しているとみられてもやむをえないだろう。
(参考)
◎「教育的配慮は必要」=はだしのゲン閲覧制限に下村文科相(時事通信 2013/8/21)
◎はだしのゲン:閉架措置に下村文科相「問題ない」(毎日新聞 2013/8/21)