神奈川県教委が圧力かけ教科書採択変更強要

 神奈川県立高校の教科書採択に関して、実教出版の日本史教科書『高校日本史A』『高校日本史B』の採択を希望した28校に神奈川県教委が圧力をかけて採択変更を強要した問題で、全校が他社教科書への採択変更をおこなっていたことが、8月6日にわかった。

 同日の県教委定例会議終了後に具志堅幸司・県教育委員長がマスコミの取材に応じて明らかにした。
 実教出版の教科書では、日の丸・君が代について「一部の自治体に強制の動きがある」といった記述がある。国旗国歌法の運用で「強制は望ましくない」と政府が見解を出していることに反して、教職員などに職務命令や条例などで起立斉唱を強制し、従わない場合は罰則や不利益を与えている自治体もあるのだから、客観的事実を記しているだけにすぎない。
 しかし神奈川県教委はこの記述を「国旗掲揚と国歌斉唱は教職員の責務であり、強制には当たらない」などと強弁し、この記述を敵視して教科書を採択させないような圧力をかけた。
 なお、この記述については、東京都や大阪府も問題視し、採択させないよう圧力をかけるような見解を出している。いずれも、強制がもっとも激しくおこなわれている自治体でもある。俗な言い方をすれば「直接名指しされていないとはいえども、彼らにとって不都合な事実を突かれた形になったので、逆ギレして事実そのものを抹殺しようとしている」というところであろう。
 高校教科書採択は、権限は形式上は教育委員会にあるが、実際の運用としては授業担当教員が実質的に選定する形で希望を出し、校長の承認を経て教育委員会に希望を提出した上で、教育委員会が追認する形になっている。
 神奈川県教育委員会では、実教出版教科書の希望を出した28校に対し、「仮にそのまま希望を出しても教育委員会で認めない」「そのまま希望を出した場合は、校名を公表する」「採択の結果発表で実教出版を希望していた学校が明らかになれば、さまざまな団体からの働き掛けで混乱する可能性がある」などと圧力をかけた。
 そのため、右翼など外部からの嫌がらせや妨害を恐れて、校長が社会科教員の反対を押し切って他社への採択変更をおこなったケースも報告されている。
 こういうことは許されない。そもそも事実でしかない記述を問題視して特定教科書採択を妨害しするなど、本来あってはならないことである。外部からの圧力を自ら呼び込むことを示唆しながら、特定教科書採択妨害に動いた神奈川県教委の罪は重い。
(参考)
◎神奈川県立28高校、日本史教科書を実教出版から変更(朝日新聞 2013/8/6)
◎教科書再考問題 全28高校が希望変更 神奈川県教委「不当ではない」(東京新聞 2013/8/6)