校長が「体罰」で退職:擁護意見相次ぐ

 大阪市教育委員会は7月31日、大阪市立小学校の校長が児童7人の頭をたたく「体罰」を加えたとして、7月25日付で戒告処分にしたことを発表した。当該の校長は7月31日付で依願退職した。

 この問題について、「児童が他の児童にナイフを突きつけたことへの指導」と報じられたことから、校長を全面擁護する声も上がっている。しかし「体罰」のきっかけとなった事象と、「体罰」行為については、明確に区別されなければならない。「理由があれば許される」かのような主張には同意できない。
 「体罰」の動機が、「児童が他の児童にナイフを突きつけたことへの指導」と報じられたこと自体は、間違いではないようである。ただそこに至るまでには、単純化できないような事情があったようである。
 きっかけとなった事件は、前日に男子児童Aの靴が隠されていたこと。怒った児童Aは家からナイフを持ち出し、靴を隠したと思い込んだ別の児童に突きつけた。ナイフで脅された児童がこの児童の靴を隠したのかどうかはわかっていない。
 目撃した別の児童が担任教諭に報告したが、担任はすぐに指導しなかった。この児童は校長にも一部始終を報告した。校長は男子児童Aを呼び出して指導するとともに、その場にいた同級生6人も呼び出した。その際に、「この7人グループが1ヶ月前、1人を仲間はずれにしたとして指導していた。その時、なにかあれば報告するようにと指導していたが報告しなかった」として、校長は児童の頭をたたいた。
 「ナイフ」というセンセーショナルな内容が飛び交っているとはいえども、よくみれば問題の中身はいじめ指導のまずさであるといえる。なぜ児童がナイフを持ち出すまでに至ったのか、担任教諭の対応は適切だったのかという点も考えなければならない。
 いじめを「体罰」で解決しようとたことも適切とはいえず、処分の軽重は別としても問題になるような行為だといえるだろう。
 「ナイフを突きつけた児童を指導したら処分されるのなら何もできない」という擁護意見もあるが、そういう意見は詭弁でしかない。指導することが問題なのではなく、指導のやり方が不適切だったから問題になったのである。「ナイフ」と言う言葉に過剰反応して問題を見失ってはいけない。ナイフを出していた現場でやむを得ず実力行使で取り押さえたわけではなく、後で呼び出してたたくという必然性はないし、それは指導とはいえない。
(参考)
◎ナイフで脅した小6の頭叩いた校長処分…退職(読売新聞 2013/7/31)
◎ナイフで脅した児童叩いた校長に戒告処分 「可哀そう」「厳しすぎる」の声相次ぐ(Jキャストニュース 2013/8/2)