受験直前の募集停止は回避されたが…

 大阪市教育委員会は7月9日の教育委員会会議で、閉校・募集停止方針を打ち出していた市立専修学校「大阪市立デザイン教育研究所」(デ研)の募集停止を1年先送りすることを決めた。

 閉校方針自体は撤回していない。
 デ研は大阪市立工芸高校に併設され、同校卒業者など美術・デザイン系の専門高校卒業者を対象に、2年で美術・デザインの専門教育をおこなうことを目的としている。デ研への進学を視野にいれて工芸高校に進学する生徒もいるという。
 橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が掲げる「大阪都構想」のもと、大阪市の廃止・特別区への解体を前提に、市立高校の府立移管も検討されている。そもそも「大阪都構想」が既定路線扱いされていること自体がおかしな話ではあるが、大阪市立工芸高校に併設されている同校の扱いをどうするかが課題になり、工芸高校からデ研への進学者が少なくなったとして閉校を打ち出した。
 しかし、卒業生や高校教員などを中心に、募集停止反対の声が上がった。現在の高校3年生が受験する直前に突然募集停止を打ち出したというやり方も余計にまずかった。
 一般に学校の閉校については、関係者の意見を慎重に聴きとりながら、長い時間をかけて準備しなければならないだろう。「大阪都構想」に巻き込まれて当事者とは無関係なところで話が進んでいることや、また受験直前に受験生に非のない理由で突然受験の機会を奪おうとして進路を変更させようとしたことなど、とてもまともな状態とはいえない。
 また現在の高校1・2年生にもデ研への進学を視野にいれている生徒もいることから、廃止が前提という話ではなく、廃止の可否という出発点からもっと慎重に検討されるべきではないだろうか。
(参考)
◎大阪市教委、デザイン教育研究所の募集停止1年延期(読売新聞 2013/7/10)
◎大阪市立デザイン教育研究所 閉校延期、生徒募集へ(産経新聞 2013/7/10)