大阪市の公募校長退職:「エリート校」希望が通らないことに不満?

 大阪市で2013年度より導入された校長公募で採用された公募校長の一人が、着任からわずか3ヶ月弱で辞職の意志を表明し、6月25日付での退職が決定した。

 大阪市では橋下徹大阪市長のもとで、学校内外からの校長の公募が進められ、2013年度に11人の公募民間人校長が着任した。今後は校長は原則として公募とするとしている。今回辞職を表明した校長は、民間出身の市立南港緑小学校(住之江区)の校長である。

 6月25日の教育委員会会議で辞職が認められたあとに記者会見に臨んだ校長は、辞職理由について「英語教育強化やグローバル人材の育成をやりたいと希望したが、赴任した学校には基礎学力育成の課題のある学校で、自分の力が生かせないと感じた」「教育委員会に公募校長の受け入れ体制ができていなかったと感じた」などと話したという。

 これは、橋下市政の教育路線に疑問を持って思い直したというわけではない。橋下路線に積極的に賛同した上での結末である、

 橋下市長自身が「英語教育やグローバル人材の育成」などと打ち出したり、校長公募を決めるなどして、教育委員会を超えて市長が教育に強力に介入し、教育現場に混乱を持ち込んだ。この他にも、学校選択制導入、「エリート校」志向の小中一貫校計画など、現場や教育委員会の頭ごなしに混乱を持ち込んだ内容は数知れない。

 今回辞職した校長は、記者会見の発言内容から推測すると、いわゆる「エリート校」への赴任を希望していたのであろう。しかし赴任先は「普通の学校」。校長は不満をつのらせ、辞職を決断した形になったとみられる。

 しかも記者会見で述べられた辞職理由は、赴任校の児童や保護者・教職員に対して、単に自分の基準と合わなかっただけにもかかわらず、「学校自体に問題がある」とばかりに上から目線でバカにしている、と受けとられてもおかしくないような形にもなっている。当該校の児童や保護者・学校関係者・校区住民が聞けばどう思うのだろうか。

 校長は「市教委の無理解で犠牲になった被害者」かのように振舞っている。しかし実際には、元々の教育観が貧弱だったから必然的に行き詰ったものだといえる。教育現場に強力な政治介入をおこなった橋下市長とは教育観では共通である。また市長や、選考過程で市長の意を体現するような人物を採用した市教委との関係については、しょせんは「仲間割れ」・責任のなすりつけ合いのようなものであろう。

 実際の被害者は、市長の強力な政治介入で振り回された学校現場と児童ではないのだろうか。

(参考)
◎大阪市:公募校長が着任3カ月で退職(毎日新聞 2013/6/25)
◎「謝罪するつもりはない」3カ月で退職の民間人校長、大阪市教委の配属に不満 (産経新聞 2013/6/25)

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