大学運動部学生は「体罰」に肯定的

 朝日新聞社が3大学の運動部員510人を対象にした「体罰」に関するアンケートによると、スポーツ指導者から「体罰」を受けた経験がある学生ほど「体罰」を肯定的にみる傾向があるという調査結果が出た。


 「体罰はあっていいか」という問いに対し、小中高校時代に「体罰」を受けたことがあるという学生は、「そう思う」37%・「どちらかといえばそう思う」36%の計73%が肯定的、「どちらかといえばそう思わない」11%・「そう思わない」11%の計22%が否定的だった。一方で「体罰」を受けた経験がない学生は「そう思う」24%・「どちらかといえばそう思う」33%の計57%が肯定的、「どちらかといえばそう思わない」18%・「そう思わない」19%の計37%が否定的だった。
 「体罰」を容認する傾向が全体的にはびこっているが、自分自身も受けた経験のある学生ほど肯定する率が高くなっているといえる。
 「体罰の影響」の問いに対しては、「気持ちが引き締まった」(60%)「指導者が本当に自分のことを考えていると感じた」(46%)など肯定的な回答がが、「指導者自身が勝ちたいという気持ちで体罰をしてきたと感じた」(20%)「指導者の目を気にして練習、試合をするようになった」(18%)などの否定的な回答を上回る傾向があった。
 「体罰」で被害者もマインドコントロールされ、暴力の連鎖につながる実態が浮き彫りになる。こういうマインドコントロールが、「体罰」が問題になっても、「事件は事実だが問題視されるいわれはない」と事実上宣言しているような居直りや、「ついていけなかった人間が逆恨みで指導者に八つ当たりしている」などの被害者中傷も含めた、訳のわからない擁護論が出る要因の一つになるのではないだろうか。しかも元々暴力肯定が根源にあるから、擁護論を振りかざす者も暴力的になる。「教師への人権侵害」などと大上段に振りかざす一方で、被害者や事件を批判した人など自分の気に入らない相手の人権はどうでもいいとばかりに振る舞う。
 「体罰」容認は単なる「信仰」にすぎないことは、各種の科学的データで証明されている。「体罰」容認論では、根拠とされる内容は「個人的な体験」以上のものはなく、客観的・科学的データを示した事例などない。一方で「体罰」やそれに類する行為が子どもの発達に悪影響を与えることは、教育学・心理学・脳科学などの各分野から、各種の研究結果が示されている。
 「体罰」肯定の信仰からは、一刻も早く決別しなければならない。大学運動部の学生は将来、運動部顧問教員や地域のスポーツクラブ指導者などとしてスポーツ指導に関与する可能性もある。それだけに、自分の狭い経験を絶対視せず、客観的・科学的な内容を学び、考えを改めて指導法を改善していくことが必要であろう。
(参考)
◎体罰、運動部員6割容認 3大学に朝日新聞社アンケート(朝日新聞 2013/5/12)